Runaway train

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目を開けて真っ先に映った光景に、私は訳がわからなくなった。だってほら、さっきまで私の体を弄んでいた4人は、皆倒れて意識をなくしている。そして一番に気になるのは、


「あー…、うるさかった」


男の一人の背中を踏んだ、かなりの長身の男だ。また名前を出すけれど、黄瀬くんより大きいのは確実だろう。そんな、紫の髪の男。


「君さー、さっさと服直したらー?あ、それとも中途半端は嫌ー?俺が続きしてあげようかー?」

「け、結構です」

「ちぇー、つまんないのー」


私がボタンを閉めていくのをまじまじと見ながら(着替えにくいんだけど…)、手に持っていたビニール袋からまいう棒を出し、食べていく男の足元に、野良らしい猫が何匹も寄ってくる。すると更にビニール袋から煮干しの沢山入った袋を取り出し、しゃがんで猫達にそれをあげだした。


「えっと…」

「部活終わったらいつもここに来て餌あげるんだけどー、今日はコイツらいてうるさかったからやった」

「(まだ聞いてないんだけど)は、はあ…。助けてくれてありがとうございます。強いんですね」

「あんな雑魚何人いても相手になんない」

「羨ましいです」

「名前はー?」

「あ、私ですか?みょうじなまえです」


そう言うなり、今まで猫達に向けていた顔をばっと効果音がつきそうなくらい勢いよく上げた。


「…そっかー君が、」


彼がそう言いかけた時、それを食うような形で声が聞こえてくる。


「みょうじさーん!」

「なまえー!」


それは、少々枯れ気味ではあるが、とても聞き慣れた声。すぐに近付いて来て、応えるように私も声を張る。私は、ここにいるよ。


「リコー!」

「なまえ?…あ、なまえよかった見つかった!日向くーんいたー!なまえがいたのー!」


草をかき分けて出てきたリコは、足に草の所為でいくつも傷ができ、土で薄汚れている。そんなリコを見た私は、申し訳なさと安心で、今度こそ涙が溢れてきた。


「リコー…ごめんね。突き放すようなこと言って。探しに来てくれて…ありがとう」

「私もごめんね。なまえを無理に連れて行ったから。大丈夫?」

「うん。だってこの紫の人が…あれ?」


いない。助けてくれた筈の長身の男がいない。


「嘘!?だってさっき…」

「帰ったんじゃない?それより本当に無事でよかった…!」


そう抱きしめられた時、リコが来た方から日向くんが姿を表す。その姿はリコに負けないくらい必死に探してくれたのが伺える。


「みょうじさん、大丈夫?」

「うん。二人共本当にありがとう」

「なまえ、帰ろう」


私は、幸せだ。
 

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