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□恋愛ピンク
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#2(おとな版)
R18

顔にあたる陽射しが眩しくて、寝返りをうったら目が覚めた。
アイチは朝が強い方ではなくて、覚醒から行動までに随分な時間がかかる。

しばし、ぼんやりと視線をさ迷わせて、頭を整理した。
近景には、手触りのよいパジャマと、光沢のあるシーツ、寝像が悪くても転げない広さのベッド。
顔を上げれば遠景に、壁一杯の窓。

(……レンさんちの、寝室だ、……)

半端に開いたカーテンの向こうに、富士山が輝いて見えた。

(ぇえと、)

起きぬけの鈍い思考回路で、ぼんやりと考える。
袖の長いパジャマの先から、少しだけ出た指先を見つめて、アイチは首を傾げた。

(何だっけ?)

パジャマに着替えた記憶がなくて。
寝室に居る覚えもない。

レンの家で寝室に居るということは、昨夜はきっと、……。
考えるのだけれど、記憶がぼやけている。

ご飯を食べてお風呂に入って、炬燵に入って喋っていた、気がするけれど。

ただ……変に、身体があつい。
自分を抱きしめるみたいにして、堪えようとするけれど。

「……ん、っ」

つく、と。
受け入れる部分が、疼いた。

「は、ぁ……っ、」

くたり、と、華奢な身体がベッドの上に沈む。
じわじわと熱を持つ箇所に、欲しがる感覚に、全部が浸食されてしまいそうだ。

(ぁ。……変、なの……、僕、)

ぼんやりとした寝起きの頭は正直で、欲しければ貪ることしか考えない。
パジャマのズボンを、下着ごと膝まで引き下ろした。
外気に曝された柔い膚が、ぶるり、と震える。

顔から肩までシーツに埋めて、腰だけを高く上げた姿勢を取ると、レンを受け入れる時を思い出した。
両手が、脚の間に伸びる。

指先が触れたら、それだけで震えが走った。
蜜口を広げるように掻きまわすと、にちにちと、既にたっぷりと濡れた音が響く。

(いっぱい抱かれたはずなのに、)

身体がつくり変えられてゆく。
レンが望むように、レンが欲しいかたちに。

「だめ、……怒られる、よぉ……」

手のひらに蜜を絡めて、そのぬめりを擦りつけるように、雄芯を包んで上下に動かした。
レンがしてくれる時のようにはいかなくて、どこをどう触ればいいのか、よくわからない。
たどたどしい手つきでは、欲しいだけの快楽に程遠くて、もどかしさに腰が揺れた。

アイチは、今一方の手を口元に運ぶと、指先に舌を這わせる。

(ぴちゃぴちゃって、すると、……レンさん、悦んでくれる、の……)

口の奥まで含んで舌の上を掻いたら、指先で口腔を弄るのに夢中になってしまって、アイチはだらしなく開いた唇の端から涎を垂らしてしまう。

(上手になったね、って髪を撫でて、いっぱいキスして、それから……)

くらくらするほど気持ちいい。

ぼんやりと霞む頭で、思い出すのは、

レンの声。
レンの膚。
レンの指。
レンの、……。

「……レン、さん、」

声に出して名を呼ぶと、ほんとうにレンと触れ合っている気がして。
アイチは、蕩けるみたいに表情を崩した。

唇から指を引き抜くと、唾液が幾本もの糸を引く。
たっぷりと濡らしたから、……ちゃんと、入る、はず、……。

ソコを自分で苛めるのは、初めてで。
アイチは、ひくひく震える入口に先端をあてて、襞をくすぐるように動かした。
どうしたらいいか、わからない。

けれど。

内側が欲しがって、きゅぅ、と収縮する。
その感覚に導かれるように、つぷ、と。
先端を、すこしだけ、挿れた。

「……ッ!」

断続的な嬌声が上がって、合わせて身体がびくびくと震える。
前を弄る手が離れてしまう。
それでも、後孔の快楽はそちらにちゃんと伝わって、透明な蜜が先端から滴った。

焦点を失った蒼い眸が、潤む。

「ぁあっ、あっ、……あっ!」

ずぶずぶと指を沈める。
温かい肉が細い指を包み込んで、ぎちぎちと締めつけるから、なかなか奥まで進められない。
抜いて、また差して、引き抜いて、挿れる。
繰り返すとそこは解れて、徐々に指は奥へ奥へと沈み込んでいった。

「はぅぅっ、ぁ、ぁ、っ、」

いけない、と思っているのに、声が出てしまって、それが余計に欲を煽る。
いちばん奥へと届くように、腰を揺らしながら、自らの指を受け入れた。

(わかるかい、アイチくん。きみが僕の指を咥え込んで、きゅうきゅう喰い締めているよ)

「……ぁ、ぁっ、レンさ……、んんぅ、」

呂律の回らぬ舌で、名を呼ぶ。
小さな口からピンクの舌先が覗いて、キスをねだるみたいに伸びて、唾液を滴らせた。
欲しがる顔は上気して、濃い睫毛の縁取る伏せた目の端に、涙が浮かんで。
アイチはひとりきりで、隠すこともなく、情欲に溺れる。

幾度もされてきたことだから、されたことも囁く言葉も、イメージの中のレンは鮮明だった。
その全てが脳裏から、アイチを狂わせてゆく。

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