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□恋愛ピンク
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根元まで挿れた指を、ぐりぐりと動かした。
内側の、敏感な箇所を探るように、回して、折って、掻く。
少し引くと、ぞぞぞ、と背筋を違和感が走りぬけて、それがまた欲しくて同じように動かした。
引いて、入れて。
回しながら引いて、また奥まで。
そうしているうちに、アイチ自身は張り詰め、反り返っていた。
(……ぁ、僕、……すごい、やらしい……っ)
後ろの感覚だけで、達してしまいそうだ。
指を二本に増やすと、圧迫感で息が詰まりそうになる。
は、と大きく息を吐いて、ゆっくりと沈める。
押し開かれた入口の、ぎちぎちと突っ張る感じ。
無理をしていることが、逆にアイチを煽った。
二本の指が、一番イイ所を探り当てて……。
「あっ、あっ、あぁっ……イイ、よぉっ!ソコ、……其処、だめ、……だめぇっ!」
昇り詰める、その、瞬間に。
ぎ、とベッドが軋んで。
アイチは、びくん、と大きく身体を震わせて、動きを止めた。
「……続けて、可愛いよ、」
穏やかな声に、弾かれたようにアイチは顔を上げる。
無理な体勢で身体を捻って、声のする方へと向いた。
イメージの中でアイチを狂わせていた、当のレンは、涼しい顔でベッドの端に腰かけている。
朝に弱いのはアイチと同じで、いつも起きぬけはぼんやりしているというのに、今朝はきっちりと漆黒のニットを着込んでいて、どこにも隙のない風体だった。
放っておくとあちこちに跳ねる髪をひとつに纏めて、何処かに出かけるみたいに整った格好で。
「レン、さん……!」
アイチが蒼い眸を見開くと、ぽろぽろと目尻から涙が零れる。
行為そのものが、恥ずかしくて。
見られてしまったことが、恥ずかしくて。
レンがあんまり綺麗だから、ぐちゃぐちゃに汚れた自分が恥ずかしかった。
「邪魔しちゃったね、こっそり見ていたかったんだけど」
「ひ、……ごめっ……なさ……っ!」
慌てて指を引き抜いたら、勢いよく内壁を擦り上げてしまう。
寸前まで昂った身体は、その刺激に耐えられなかった。
「あ、……あ、あ、ぁ、……っ!」
シーツの上に白濁を撒き散らして、アイチはくったりと力を失った。
小さな口を大きく開けて、浅い呼吸を繰り返す。
まだ幼さの残る貌は、涙と唾液で、真っ赤になった頬から顎の先まで、ぐっちゃりと濡れていた。
「……ひ、っ、ごめんなさ……っ、……ごめん、なさい……っ!」
しゃくりあげて、泣きながら、アイチは身体を、レンの視線から隠すみたいに丸める。
「怒られると思った?どうして?」
レンはベッドの上に乗って、横たわるアイチを引き起こすと、そのまま抱きしめた。
「……っ、だめ、です……僕、きたない……っ!」
レンの胸に両手を突っ張って、アイチは身をよじった。
逃れようとする動きを、両手首を一つに纏めて封じて、レンは膝立ちの姿勢でアイチにくちづける。
幾度も、幾度も、角度を変えてキスを重ねると、アイチの身体から力が抜けてゆく。
抵抗を止めたところで、レンは握っていた手首を開放して、アイチの背に腕を回した。
「嬉しいよ、アイチくん。……僕の名前を、ずっと呼んでいたね」
「ごめんなさい、」
ひっく、ひっく、と。
レンの胸に顔を埋めて、けれどアイチは泣き続けていた。
「謝らないで、と、お願いしないと駄目かな?」
レンは蒼い髪を愛おしげに撫でて、撫でて、それから屈むと、アイチの耳元に囁く。
アイチは俯いたまま、ふるふると頭を振った。
細い肩は震えたままで、顔を上げようともしない。
「……知っているね、アイチくん。僕のお願いは、命令だよ」
レンは、少しだけ強引な仕草でアイチの顎を捕えて、上向かせる。
「ごめんなさい、……っと、ぇと、……」
小さく、また、それだけを言った。
目が合うとすぐ、自信なさげに逸らされる。
レンは視線を捕えるみたいに、瞼に口付けて、それから頬に。
涙の跡を、舌先で舐めた。
くちびるを再び合わせて、今度は深く深く、アイチの喉の奥まで満たすように、舌を進めて、絡めてゆく。
アイチは逆らえない。
そういうふうに、レンが造り上げてきた。
怯えて縮こまっていた舌が、誘い出されて唇から覗く。
てらてらと、濡れて光るピンク。
その上をぞろりと舐めたら、アイチが初めて謝罪以外の声を上げた。
「は、ぁっ……、」
息が乱れてゆく。
粘膜の重なり合う音が、耳からも淫らを煽る。