長い夢

□出会い
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署に戻り、彼女のいる部屋へ入った時
ドアの閉まる音で彼女が目を醒ました

「………ん…」

気怠そうに起き上がりこっちをみた瞬間、彼女は目を見開いた


「あ……っ…嫌!!X!さ…いやっ…」

彼女は俺を見た途端に怯えだした
恐らく毛色が似ているせいだろう

「落ち着け、名前ちゃん」

「っ来ないで!慶太を返してよッ…」

「名前ちゃん?!どうしちゃったんだよ!」


落ち着かせるために近づいた俺を突飛ばし、彼女はXに対する感情をぶちまけた

「返して……!なんでっ…なんであんなこと……けいた…」





ぼろぼろ涙を流す彼女に想われている石垣慶太に年甲斐もなく嫉妬した

「…………」

再び彼女へ近寄り、突き飛ばそうと伸びてくる手を掴みそのまま抱き締めた


「っ!はな、して…!」

「大丈夫…俺はXじゃない
笹塚……笹塚衛士だ……」

「さ、塚さ…?……」



「………名前ちゃん?」

くたりと体を預けてきた彼女を不思議に思い、腕を緩めると目を閉じて眠っていた


「寝ちゃいましたね…
てかセンパイ酷いっスよ!
名前ちゃんは可愛い俺の妹分なのに……!」

「あー…悪ぃ
まぁとりあえずもうちょっと寝かしといてやるか…」




それから俺と石垣は資料を整理しながら彼女の今後のことを話したが堂々巡りに終わった

「慶太の叔母さん達が預かるって言うに決まってますよ!
前からずっとそう言ってたのに!」

「名前ちゃんは行きたくねーだろうよ…」

「なんでですか?!」


こんな感じの会話が繰り広げられ続けて2時間
様子を見に彼女の所へ行くとすでに彼女は目を覚ましていた


「…石垣さん…」

「名前ちゃん!!
大丈夫?俺の事わかるんだよねっ?」

「はい、大丈夫です…

…えっとさっきの刑事さん、ですよね
取り乱してすいませんでした…」

「や、こっちも申し訳なかった
俺は笹塚衛士ね、担当の刑事」


「刑事、さん……やっぱり…あの箱…………」

「名前ちゃ」

「今は寝てな
俺ら2人とも席外すから」

「え」

「…無理しなくていい
ここ音漏れないから気にせず、な


じゃあまた2時間位したら来るわ」

暗に泣いていいと言ったのを勘づいた彼女は泣き笑いの表情を浮かべながら頷いた



「センパイ…なんで側に居させてくんないんスか……」

「………………仕事だ」

「えっ!?待ってください〜!」





泣いた方が楽になれるんだろ?





出会い




この時から惹かれたのかもしれない





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