長い夢
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「………………」
テーブルで携帯のアラームが鳴り響いている
それをなんとか止めて怠い体を起こした
いつも通りの気怠い朝
「ふぁ……」
なんとも情けないあくびをひとつ
その直後にドアの開く音
俺は低血圧ってこともあり中々頭が働き出さない
だから視界の端に名前ちゃんが映ったとき何が起こったかまるで分からなかった
「あっ、おはようございます」
「…おはよ」
「……………」
「………………………
…あ、そっか。よく眠れた?」
「はい!
本当にお世話になりました」
そう言って深々とお辞儀をする彼女
「…宿貸しただけだから」
「でも凄く助かりました!
本当にありがとうございました」
近頃の子にしては妙に礼儀正しいなと感心しつつ、弥子ちゃんみたいに少しくらい砕けた話し方でもいいんじゃねぇかと思う
「別に気にしなくていーよ、あと敬語もそんな使わなくて構わねーから
それより………
…本当はこんなこと言いたくねぇんだけど
Xについて知ってる事、気付いた事教えてくんねーかな…」
「………」
「…ごめんな、時間おこうと思ってたんだけど……名前ちゃんの危険を考えるとやっぱり早めに知っといた方がいいと思ってな」
「…私なら大丈夫です
笹塚さん今から行かれるんですよね?なら私も行きます」
「……悪い…」
俺と彼女はすぐに署に向かった
途中コンビニへ立ち寄り食欲がないと言う彼女におにぎりやお茶を押し付けて事情聴取を始めた
彼女は驚くほどしっかりと答え、筋道立てて話していた
そのあと彼女は石垣さんの家に行き、泣きながら謝っていた
車の中に居た俺には声はほとんど聞こえなかったが名前ちゃんが首を横に振っていることから石垣さん夫婦の誘いを断っていることが容易に予測できた
それほど石垣慶太との思い出は深いんだろう…
「………ふぅ…」
不謹慎だとは分かっていてもため息が出てしまう
それを戒め、遠目からその様子を見守った
そして小一時間が経過した頃、彼女は助手席に飛び込んできた
「っひ………ひっく……お待たせして、…すいません………」
「いいよ」
俺が車を出そうとしたその時
名前ちゃんの携帯が鳴り響いた
「!………も、しもし…
っ…弥子………耳、痛い…」
「……ちょっと貸して」
電話の相手は弥子ちゃんだった
「もしもし弥子ちゃん?」
「笹塚さんっ!!なんで昨日電話切ったんですか?!っていうかなんで夜中の3時に2人でいるんですか!」
耳が痛くなるほどでかい声で喋られて説明する気力も無くなった
「……まぁ色々あったんだよ
今から事務所行くから、待ってな」
プチ
「ちょっ?!ささ…切られてる…
……ねぇネウロ、笹塚さんと名前ここに来るって」
「フム…貴様の知り合いも来るのだな?
では奴隷(女)がもう一人増えるかもしれぬな…」
「えぇ!?
名前だけは止めて!!」
「だけは?
ならば貴様は奴隷だと認めたのだな!
それは実に悦ばし…」
「違うわっ!!」
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