ぶっく

□ぬくもりを感じる
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こんなに好きになるとは思わなかった。




最初は、ただの幼なじみだった。




「いっくん!サッカーやろうぜ!」


昔から呆れるぐらい聞いてきたそのセリフ。
今では、俺以外のヤツにも振りまいている。



簡単に言えば、嫉妬した。




円堂にはずっと俺の傍に居てほしかった。



「風丸ー?どうしたんだ?」


突然。視界いっぱいに円堂がうつった。



「ぅわぁっ?!」



「どうしたんだ?さっきからボーッとして。もうすぐ部活始まるぞ?」



どうやら、終礼の時間はとっくに過ぎたらしい。
教室には俺と円堂しか居ない。

「そ、そうだな。今行く。」

「ちょっと待った。」



椅子から立ち上がろうとしたら、円堂に静止された。


「何考えてたんだ。」


お前のことだよ、
とは言えず、ただ黙っていると


「また、追い込まれてたのか?」



「いや、そういうのじゃないんだ。気にしないでくれ。」



とっさにそういうと、
そうか、と小さくぼやかれた。



「また、あんな風に追い込まれてたら、絶対、俺に言うんだぞ。」


「…――え、」


「今度は絶対離さない。もう風丸を一人にさせないからさ。」


円堂の言っている意味がよく分からない。




「ずっと、俺の傍にいてくれればいいんだ。あったかいんだ。」




お互いの温度は高くなるばかり。





(ぬくもりを感じる)

(なんだ、結局思ってる事は同じ。)


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