紅き華の記憶
□―記憶ノ欠片― 1
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―・・・・
「お父さん!!みてみてっ!!」
笑顔をふるまいながら走っていく。
大きな木造の屋敷で、幼い私の足音だけが響く。
「・・・この部屋かな?」
ゆっくりと障子の襖を開けると、私の大好きな人がいた。
「お父さん!!!」
私の声に優しい笑顔を浮かべるのは、お父さんだった。
とても優しくて、強いそれがお父さんに対する私の考えだった。
「お花きれいでしょっ。」
「そうだね。綺麗な花だ。」
いつも優しく笑う父と
「まぁ、華南・・・お父さんはお仕事中だから・・・。」
病気で体の弱い母。
この家族が大好きで、ずっとこのままでいたいと思った。
私もここでならずっと笑顔でいられると
思っていたから。
「「華南」」
2人の私を呼ぶ声が・・・
聞こえることに安心していた。