紅き華の記憶
□―記憶ノ欠片― 1
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その日もいつものように遊んでいた。
兄弟のいない私の遊びは、1人遊び。
「わぁ!今日もかわいいお花見つけた。」
お父さんに早く見せたくて、急いで家に帰った。
静まりかえった家は、いつも以上に静かすぎた気がして不気味だった。
怖くなって、お父さんとお母さんのもとに早く行きたいと思った。
「お父さん、お母さん!!!」
いつもの部屋。
いつもの笑顔。
それらは、そこになかった。
あるのは・・・・・・・・
血だらけの2人と部屋。
何が起こったのかわからなくて
「・・・・お父さん?」
ただ横たわった2人を揺すっていつもの返事を待った。
でも返ってくるはずもなくて
私は目を見開いて自分の手を見た。
「いっ・・・・いやゃやゃやや!!!」
甲高い私の叫び声が響き渡った。
私の摘んだ花が
紅い花が
舞い散った。
優しい笑顔を見たいのに
声を聞きたいのに
2人はもういない・・・・