book
□嫉妬男子
1ページ/9ページ
「……、はぁ…」
俺のため息の理由
*嫉妬男子*
それは昨日のことだ。
突然三橋から電話がかかってきたんだ、いつもあいつから電話する事なんてめったに無いのに…
《あべくん!今から俺のいい え来て!》
「はぁ!?」
まぁとりあえず回想な
普段電話することも誘って来ることも、ましてや家に呼ぶなんてめったに無いのに…俺が一人で(勝手に)行くことは有っても、誘いで一人で行ったことなんて……初めて?じゃないか?
《い、いから!き、て》
「あ、…あぁ」
―ブツッ、プ-ップーッ―
「なんなんだよ、あいつ…」
携帯を睨んで溜め息をつく。
何であんな元気ってか覇気ってか…いつもねぇのに
電話する相手間違ってたりしてな田島とだったらこんな電話してても…おかしくねぇ…
いや、でも…
あべくん!っていったよな?
阿部の思考回路がパンク仕掛ける。いつにない事態は誰だって動揺するものだ。
とりあえず行くか
行かないとまたぶーぶー言い出すの目に見えてる
最近付き合ってからか何でも素直に言ってくれるようなった…とおもう…
はぁ、と溜め息をつくと携帯と財布を持ち家を出た。
*
―ピーンポーン―
「はぁーい」
慌ただしい足音がドタドタと響く、あいつは何がしたいんだ?そんなことを思いつつ、ポーカーフェイスで待ち構える。
「あっ阿部君っはっ入ってっ」
「おっおぉ」
なんだこの嬉しさ全開な三橋……
どこか変なのは間違い無いようだった。
「なんなんだよー」
どうせ三橋のことだ
そんなたいしたことないだろ
「見て!阿部くんっ!!」
三橋の腕に抱かれていたのは真っ白でふわふわの仔猫、みーみー鳴いていた。
「かっ可愛いでしょぉ……フヒッ」
「可愛いな」
三橋がな
なんで、こー悩殺もんなんだ?顔に出るようなことはないが、心臓は脈打って煩かった。
「おい三橋」
「ん?」
こっちを見ず仔猫に笑いかけながら俺に空返事する
「廉、」
「ん?……フヒッ可愛い…」
駄目だこりゃ…、そう思った阿部はハッとした。
……………あれ?
三橋……取られた……
仔猫に……
俺なんか放っておいて
仔猫とラブラブ……
「なっ、なぁ?三橋?」
嫌な汗を隠せずに慌てて話しかける。
「ん?なに阿部く………フヒッ、みぃーだって、かわいー」
「…………ッ」
まぁそして今に至るわけだ
あの後俺は耐えきれず帰った。情けねえ…仔猫一匹に…しっ……嫉妬っ!?