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□甘い甘いチョコ
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もう…1か月か……
*甘い甘いチョコ*
1か月前、夢想だにしない不幸に見舞われる。そしてその壁を乗り越えた俺と三橋。
明日はホワイトデーだ。
「どうすっかな…」
授業中だと言うのに違うことに思考を使う。
実はあの後、三橋も告白されていた事を知ってしまった阿部。
三橋の気持ちは重々分かったようだった。
見事に彼も三橋が心配になり不安になったからだ。
あんなことがあったせいか三橋もその事について言えず忘れていたそうだった。
その事実を知ったのは、クソレこと水谷文貴からの情報だった。
ガセでは無いらしい。
実際三橋にも確認したからだ。
そしてちゃんと断った事も分かった。
絆は確実に深くなった。
そしてこのイベントは彼にとっては越えなくてはならないもうひとつの壁になってしまった。
「何人からもらったっけ…」
実はとてもモテる阿部(実はと言うのは適してなく。確実にだろう)
チョコを貰った相手には礼儀として、きちんとお返しをしなくてはと思っていた。
それが女子の心を突き放せていない事も知らずに。
「第一は三橋だからな…」
ボソッと呟いた言葉は誰にも聞こえない。
嫌らしいことに指を折りながら何人から貰ったか数えていた。
指が足りない…
「あっ」
終業のチャイムで我に返る。
机の上に広げられたノートは、真っ白だった。