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□苦い苦いチョコ
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とぼとぼと歩く
夏と違って赤くならない夕方、白んでく…

心は真っ黒だとゆうのに


腫れた目を冷やし、さっきとさほど変わらなくなってから、教室にもどる


……これから部活、なのに…俺、だめだな、怒られちゃうよ…阿部くんに…

いや阿部くんはいいや、


教室に向かう廊下、7組を通りすぎようとしたとき、声がかかる、

「三橋っ…お前阿部が探してたぞ、てっきりもう一緒に居るのかと思ったよ…」

「うん…」

「なんか在ったか?」

「ううん……」

「そっか」

花井くんは知らないから、そんな風に言えるんだよね…

バッグをとってから部室に行く、少し肌を刺す寒さと暖かい陽射し、

部室に入ると、阿部くんがいた。


「あっ!三橋探したんだぞ」

「………」

「おい!」

「うん、」


何でこんな時会っちゃうんだろ、まぁ部活一緒って時点で会わないって無理な話なんだろうけど

先にいた阿部くんより早く着替え終わった俺は、阿部くんを置いて先に部室を出る。

「三橋っ!」





「…あっ!田島くん!」

「んぉ?どしたぁ?」


「投球付き、合って…」


「阿部とはいいのかよ」


「いい、よ」


「そか、じゃあ行くぞ」


「うんっ!」

いつもと同じキャッチボールただのキャッチボール、そう思うのに…阿部くんじゃないだけで、こんなに寂しいなんて……

「真面目にやんねぇと、ケガすんぞ」

「えっ…」

「さっきから上の空って感じだ…少し休憩するか」

「うん…」




何を話してたんだろ、俺にしか見せない笑顔だと、思ってたのに…いつも女の子の前じゃ無愛想なのに、あんな顔で笑うなんて… 

「ありがと、嬉しい、かぁ…」

また目に涙が浮かぶ、
あのシーンを思い浮かべただけなのに…


背中で阿部くんを感じながら、目を合わせたくないという気まずさ、さっきの事があるからか阿部くんも話しかけてこない、


「なぁ三橋、」

「田島くん…どうしたの?」


「今日、変だぞ…」


「へ?そんなこと、ない よ」

「阿部来てるじゃん、阿部とキャッチボールしてこいよ、バッテリーだろ」

「……きょうは、田島く」

「何言ってんだよ!」

「ひっ」

「お前らが俺らのチームにどれだけ必要かわかんねぇのかよ!」

「そんな…田島くのほうが…」

「いや、俺は打てるかもしれない、けど…三橋みたいなピッチングは無理だ、意味わかるよな」


「う ん…」

「よしっ!………阿部ーちょっとこーい」


「えっ」


どうしてっ、今阿部くんに面と向かうなんて…できないよ……


「何だよ、」

「代われっ」

ミットを阿部に投げる

「おお、」
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