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□雨玉-アメダマ-A
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気休めもなく6時限目が始まる。何事も無いように始まった授業に違和感を覚えた。

非日常が俺の前で起こり、サボった俺は何も問われず授業に参加する。


ドキドキする。
今までに無かったことが起こる。
俺は胸の中のざわめきに耳を貸してそれ以上の"非日常"を求める。

「暇だ…」

窓の外を見る

雨はやむ気配を見せずに降り続く

授業を真面目に受ければいいんだけど…あいにく自習

勉強する気にもならない
考えているのは…あの1シーンのみ、俺に深く響いたあの言葉だけ





最近自習が増えた。

テストが近づくと各教科は範囲を終え、自習になる。

唯一俺が苦手な教科は数学で、数字がダラッと並んでると頭がパンクしそうになる。

だからテスト前数学に関しては、西広や阿部・巣山に教えてもらってる。

同じクラスってこともあって巣山に聞く事が多いけど、巣山もダメなら西広先生と阿部だよりだ。


赤点をとったらヤバい
それが俺たち野球部。
だからテスト前は必死で勉強する。


「数学やだな…」

6時限目が終わりHR後の掃除中にそう呟く。溜め息と一緒に吐き出した声を、拾ってくれる人は居なかった。


「部活遅れるぞ」

掃除が早く終わったのか、とろとろやっていた栄口に巣山は淡々と言った。

「うん、今いくよ」


一見止まりそうな位遅かった手を早め


バックをもって部室へ走った。






いつも通りの練習


今日も水谷とはほとんど会話をしない。

いつも通り


でも今日は違う非日常
自信がついたはず。


声かけても罰当たんないよね?




部活が終わり、まだ汗が引かない中部室で着替える。

人より早く着替え終わったから、少し涼しい外で水谷を待った。

夕方に吹き抜ける風は、髪をふわっと持ち上げる。

目の前の部室では感じられない風だ。

部室からはガヤガヤと田島たちの騒ぎ声が聞こえる。
その中に水谷の声もあった。


「あっ」

部室からみんなが出てきた。

花井、三橋、阿部、西広、田島、巣山、泉、沖


あれ?水谷は?
部室にはいたはず…

栄口は部室に歩み寄った


居たとしても忘れ物したって言えば良い、問題ない。

背後を見てからドアノブに手をかける。爪先を見つめたままドアを開けた。
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