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□雨玉-アメダマ-D 
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水谷の背中が遠くに見えなくなり家へ入る。

「ただいま…」

「あら、おかえりご飯食べる?」

「あ、うん」

自分の部屋に向かう途中母親に声をかけられる。
今日はなんだか少し食べる気がしない。

自分の部屋にはいる。

制服はズボンの裾だけ色が濃く変わっていて、シャツも左肩の所だけ濡れていた。
シャツは直ぐ洗濯物に出す。ズボンはシワにならないようにと着替えハンガーにかける。

服を着ずTシャツとパンツのまま布団にダイブする。

「はぁ…」

テスト期間は明日で終わり。明後日にはテストが始まる。まだ胸に不安はあるが、皆が勉強している姿を見たらやるしかないと思えてしまった。


意外にこの1週間苦労ばっかだ。三橋も田島も水谷も。
教えるのがこんなに難しいなんて思わなかった。


今さらだけど先生って凄い。
俺達が解んないって言っても、折れずに教えてくれるところなんて特に。



明日はどこで何をどうやって教えるんだろうか。


教える、と言うのはあまりない。けれど一緒に勉強をして、分かんない所を一緒に考えたい。


うつ伏せだった体をゆっくり起こし仰向けになる。白い天井、そして蛍光灯が時たま点滅して目がチカチカする。

「ご飯食べないのー」

母親の声がする。

「あーごめんっ!今行く!」


ベットから飛び降りるとズボンだけはいてリビングに向かった。


「ごめんねっ待たせて」



*


夕飯を食べ終わり自室へ戻る。部屋の中心辺りで立ち竦む。
なんだか気が抜けてしまっていたようだ。


「英語、勉強しとこうかな…」

突然動き出すと手近にあった服を手に取り着る。そのまま先程放り投げたバッグを持ち自分の机へ向かう。

机の上にバッグを置きバッグを覗いた。

「あれっ……ない…」

ちゃんと入れた(はずの)英語の一式がバッグの中には無かった。

机の本棚を見てみるも、そこに英語一式は無かった。

「あちゃー全く勉強してないのに」


初日は英語と世界史と保健体育だ。ちゃんと英語がそこにいた。


「どうしよう…」

そう呟くとおもむろに携帯を手に取り、アドレス帳を開く。

アドレス帳の中はとてもスッキリしていて、男ばかりと思いきや、女子の名前もちゃんとある。


「だれに連絡しようかな…」

アドレス帳を一周しようとしたときに、最後の方にある水谷の名前に目が止まった。
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