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□ハニー×ハニーB
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「おめぇら…」

嫌な感じがしたのは間違いじゃ無かった。

「いいじゃないですかぁ」

「阿部俺も聞きたいっ」


顔を寄せキラキラした目でせがむ。
阿部は一瞬たじろぐが立て直す。


「好きな奴もいねぇ、気になってる奴もいねぇ。ましてや恋人なんているわけねぇ」 

しゅんっ 


二人からそう聞こえた阿部だった。

「だってさ今日のあべへんだったよ?」

突然話を切り出したのは水谷。

「えぇへんでしたっ…ッ」

「変ってどう」


阿部はいたっていつも通りだと思っていたのだが。

「上のそらって感じだったよ?」

「えぇ…へんでしたっ」


水谷は指を頭の横でくるくるくるくる回す。


「そうだったか?」


「えぇ…ッ…へんでした…よ」

「おめーはさっきから、変だなんだ…うるせぇ」

半分眠そうな顔をしている栄口は、テーブルに顎をついて片手には空のグラスを持っている。

阿部は栄口のでこを指で思い切り突いた。

「痛ーい……で、す」

「あっ栄口、でこ赤くなってるっ」

水谷が栄口のおでこをさすさすした。

「水谷さぁーん………なんか」
「キモいな」


栄口の後を続くように阿部が続ける。
そのコンビネーションに水谷は鼻の穴を大きくして白目を剥いた。

「栄口がお嫁に行けなくなったらどうすんだっ」


「っ………くっ」
「ぷっ……っ」

笑いを堪える二人に水谷は笑えば良いのにと思う。

「栄口がお嫁にい「じゃあその時は水谷さんにもらって貰いますよ♪」 

「………」


「冗談きついな……フッ」

阿部はそう鼻で笑うと、メニューを片手に何を選ぶか迷っている。

「まだ飲むんですか?」

正面から覗き込むようにメニューを見る。阿部は自分ので見ろと言わんばかりに栄口を一瞥する。

「そうだよーあしたも朝早いんだから」

「今日だけでもいいから付き合ってくれ」


「「丁重にお断りします」」

「はぁ!?」

阿部は毛を逆立てて立ち上がる。その殺気にやってしまった、と思った阿部を振った二人。

「っ……クッ…」


「阿部?」

阿部が突然笑い出す。あまりの展開に二人とも呆然唖然その二言に過ぎた。


「いや、あのさ」
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