波乱万丈人生記

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「はぁ、…」


さっきからあたしはため息ばかりついている。


その原因は朝靴箱の中に入っていた、一枚の手紙にあった。

最初、テニス部ファンクラブからのお呼びだしかと思ったが
中に入っていたのは、甘酸っぱい言葉が沢山書いてある、ある人からの手紙だった。

そう、所謂ラブレター。


差出人は隣のクラスの田中一郎くん。委員会が同じでよく話す機会はあった。

あたしを好きになるなんて、なんて奇特な人だ。
何であたしを好きになったのか、不思議でならない。

あたしは別に田中くんが好きな訳では無いから、答えがNoになる事は確実だ。

しかし返事の仕方がわからない。

好きじゃ無いから、と断るのはあの時の日吉と同じくらい酷いから避けたいし。

返事は今日の放課後にお願いします。と書いてあったから、のんびりしたことは言ってられない。


もうちょっと待てよ田中!!

人生初の告白なんだよ!
焦るよ!


「ちょっとさっきからなんだよ、暗いな。」

さっきからため息ばかりつきすぎたのか、隣の席の日吉から怪訝な顔で言われた。


「あのね、告白、されちゃった…」

「はぁ?何で……って告白!?」

「驚きすぎだよ…」


日吉はあたしが告白されることに驚いた様子で、告白…告白…とブツブツ呟いている。


そんなに驚いたのか。
少しショックだ。


「あー、うん。もういいや。」

「ちょっ、誰だ、そんな勇者は。」


勇者とか失礼だな。


「隣のクラスの田中一郎くん。」

「誰だ、田中!」

「うん、もう知らなくていいよ。」


満面の笑みで言ってあげた。





今は昼休み。

何故か田中君に呼び出された。あれ?放課後じゃなかったっけ?


「あの、突然あんな手紙ごめんな…。…俺、テニス部の日吉と付き合ってるなんて知らなくて…」




…はぁああ!!??

「え、ちょっ何で…」

「さっき日吉が俺のクラスに来て…凄いお前愛されてるんだな。」


何をした日吉ィィイ!!!!


「じゃ、幸せになれよ。」

ちょっ、爽やかな笑顔で去って行くなぁあ!!



急展開過ぎてあたしの頭はついていかない。
兎に角日吉に話を聞かなきゃ…!

そう思いあたしは走り出した。
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