夢で逢えたら
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あたしはなるべく音を立てないように階段を駆け下りて、一階にある保健室の前までやってきた。
扉の前には「出かけています」と書かれた大きな札がかかっている。
あたしはそれを無視して扉を開く。ガラガラと音を立てて扉は開いた。
中に入ると先生が立っていた。出かけているとばかり思っていたあたしの心臓は飛び跳ねる。
「あ、あれ?先生、出かけたんじゃ…」
あたしがそう言うと先生が答える。
「今から出るところなのよ。だから出て行ってもらえないかしら。」
「いえ、寝かせてもらえるだけでいいですから。お願い、先生。」
いつもはこう言うと「仕方ないわねえ」と言って寝かせてもらえた。
でも、今は違った。
「だめよ、出かけるんだから生徒をここにはおいていけないわ。」
なんだか、先生がおかしい。いつもとは違う、張りぼての笑顔であたしと話している気がした。
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