REBORN!

□鮫の珍道中
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「まずはそれ、風邪ひかないように風呂にでも突っ込みなよ」

マーモンは、彼にしては少女を気遣うようなことを言う。
スクアーロはそれに少し驚いたが、すぐにいや、と考え直す。

結局のところ、この子どもは健康状態が良好な少女から話を聞きたいだけなのだろう。
熱に浮かされてしまったら、正確な記録は取れない。
熱だって時間が経てば治まるだろうが、それでは記憶が曖昧になるかもしれない。

「……なに、スクアーロ。まさか自分が入れたいとでも言うの?」

「う"お"ぉい!」

マーモンのぶっ飛んだ発言に、スクアーロは少女を取り落としそうになった。



白の電話ボックス



「ちょっと早過ぎるんじゃないの?」

小さな男の子マーモンは、勢い良く入って来たスクアーロにそう言い放つ。
私は何となく倒れた椅子を元に戻し、おとなしく座り直した。

変な格好の状態の時に、入って来なくて良かったと思う。

「早過ぎるだぁ?」

スクアーロはそんなマーモンの言葉に顔をしかめて、それから呆気にとられたように頭を掻く。
だが小さな子どもは、その容姿からは似つかわしくない溜息をついた。
呆れているようだ。

「スクアーロ、一々僕に訂正させるつもり?」

「あ、いや……」

「もっとゆっくり話を聞かせてよ。貴重なことなんだからさ」

小さな男の子に押されている大きな男の人。
なかなか珍しい光景だ。

入れてもらった紅茶を一口。
私はどうすればいいのだろう。
このままここで、マーモンの優勢な言葉のやり取りを聞いているべきなのか。

そこでふと、私は視線を扉の外へとやった。
扉はまだ閉まっておらず、ここからも廊下が見える。
そしてそこには、黒いスーツを着た女の子がいた。

「!?」

さっきは全く気がつかなかった。
入ってくるのはスクアーロだけだと、無意識の内に思っていたのかは分からない。

けれどここは気がつくべきだろう、自分。
だって女の子だ。
このマーモンの部屋へ来るまでガタイのイイ男達を見てきた私は、ちょっと感動してしまった。

「う"お"ぉい、そっちはまだだぁ!」

「わあ!」

その感動している最中に、突然目の前が真っ暗になる。

驚いてもがくと、何のことはない。
手で眼を隠されただけようで。
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