REBORN!

□霧の部屋と
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スクアーロ曰く、霧が濃くなる辺りからトラップに入るといっていた。
どこの辺りから、本物でなくなったのだろう。
全く気がつかなかった。

「なんか、魔法の罠みたい」

素直な感想を口にしてみれば、彼はちょっと違うなぁとつぶやいた。
まさかこれ、機械仕掛けなのだろうか。
どう考えても仕組みが分からないそのトラップ。

それに気を取られていると、スクアーロは目の前のドアを何の合図もなく開け放ってしまった。
ノックすらしなかったのだ。
それって常識なんじゃないだろうか。

だがその行動を咎める声は聞こえず、中からは幼い少年の声がする。

「遅かったじゃないか」

スクアーロの背に隠れつつ、開けられたドアから中を覗き込む。

するとそこには、小さな男の子が椅子に座っていた。
真っ黒いローブを頭から被り、顔は口許しかみせていない。
大きさからするに、五才から六才くらいだろうか。

でも態度と雰囲気は、確実にそれ以上だ。
それは断言できる。

「マーモン」

スクアーロは偉そうに言い放った男の子に苛立つ様子も無く、スタスタと部屋へ入った。
腕を掴まれたままの私も、半分引きずられる状態で一歩を踏み込む。

「で、そっちが例の異邦人だね。……予想より幼いかな」

「幼いって」

君の方がよっぽど小さいのに。
口には出さないが、顔には出たようだ。
こっちを見たスクアーロは、確かになぁと笑った。

「マーモン、お前が言うと違和感しかないぜぇ」

「うるさい」

男の子はマーモンという名前らしい。
彼は椅子からぴょんと飛び下りて、とことことこちらへ足を進める。

身体が小さいから、歩く速度はやはり遅い。
そして可愛い。
小さいものを可愛いと思うのは、絶対に私だけじゃないだろう。

マーモンは私の前に立ったと思うと、そのまま止まった。
見られているのだろう。
痛いほど視線を感じた。
だが目許が隠れているせいか、余り気まずさはない。

「ふぅん、ま、良い状態かな。僕はマーモン。好きに呼んでくれていいよ」

踵を返したマーモンに、私は何も言えずに固まった。
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