銀魂

□落とし物探索
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落とし物探索




どうにかして欲しいあの隊長。俺の昼休みを意図も簡単に奪っていきやがった。もうこれ切腹で良くね?


山崎は頭の中だけでしか言えないようなことを考えながら、串団子を片手に歩いていた。
ちなみに見回りの最中だ。
もう一つ付け加えるとすれば、この時間帯は山崎の担当ではない。
一番隊隊長、沖田総悟の担当時間である。
上手くサボられて、上手く押しつけられたのだ。
ある意味の天才。


もぐもぐしながら見回り。
行儀悪い上不真面目にも程があるが、彼の場合は昼食の最中に駆り出されたのだ。
仕方ないだろう。


「今日も江戸は平和っ」


ごくりと団子を飲み込んでそうつぶやく。
あと串に残る団子は二つ。
お昼ご飯にしては少ない量に、山崎はちょっと肩を落とした。
そろそろ諦めろ。
沖田に敵うわけがないのだ。


「……?」


そこでふと、山崎は歩みを止めた。
その視線の先には一人の女性。

何かを探しているようで、綺麗な着物を着ているにも関わらず、地面に膝を付いていた。
袖の部分がすでに少し汚れ始めていて、薄い桃色がくすんでいる。
道行く通行人たちは迷惑そうにそれを見ていた。

山崎は串団子を持ったまま彼女に近付く。
何となく、気になったからだ。


「どうしました?」

「っ、あ……」


突然声をかけたことで相当驚かせたようで、女性は勢い良く立ち上がる。


「あの、ごめんなさい。落とし物をしてしまって……」


妙に焦ったように話す彼女に山崎は不思議そうな顔をして、それから苦笑した。
自分の格好は真選組の隊服だ。
日々新聞に載るのは過激な一面ばかりだから、怖がるのは仕方ないことだろう。


「何を落としたんですか?」


人懐こい笑顔でそう尋ねると、彼女は安心したように肩を落とす。
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