REBORN!
□世界が違うので
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「僕の時間をお金に換算するつもりなら……」
「う"お"ぉい、誰もそんなこと言ってねぇだろぉ!」
突然手帳を取り出したマーモンに、スクアーロは焦って声を上げた。
本当に請求されてしまうと非常に困るからだ。
この小さな子供は、お金に関しては冗談を知らない。
そして冗談にしか聞こえない金額を吹っ掛けてくる。
小さく舌打ちしてメモ帳をしまったマーモン。
本気で請求したかったようだ。
スクアーロはほっとして、腕の中の少女を抱え直す。
雨で濡れたコートから、ぽたりと滴がこぼれ落ちた。
世界が違うので
「ま、とりあえず座りなよ」
小さな男の子、マーモンはそう言いながら側にある椅子を指す。
私はほんの少し迷って、その椅子に座ることにした。
それにしても、変わった部屋だと思う。
スクアーロが一緒にいた時には気がつかなかった。
壁には何やら怪しげなマークが描かれているし、奥の方には研究のためか蓋の付いた中身入りの試験管が転がっている。
その横には訳の分からない檻が置いてあって、中には爬虫類だか節足動物だとかがいるものも見える。しかも特大。
近付くのも遠慮したいサイズである。
触れるなんて以ての外だ。
きょろきょろと辺りを見ていると、マーモンは紅茶を入れてくれたらしい。
小さい男の子に紅茶を入れてもらう機会なんて、なかなか無いだろう。
いや、待て。
それ以前に彼はどうやって紅茶を入れた?
確かに視界には入ってはいたのだが、余りに非現実的な光景過ぎて認識出来なかった。
浮いてなかったか、この子。
気のせいや錯覚なら大歓迎なのだが、私の反応を見て出た言葉が真実であることを示している。
「なかなかいいリアクションだね」
くすりと、子どもらしくない静かな笑い。