銀魂
□愛の言葉
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「ひじかたぁ、ティッシュぷりーず」
ぐずぐずしながらティッシュを要求すると、土方は懐から懐紙を取り出して渡して来る。
こういう所はいい奴だと思う。
でも気が利かない。
こんな固い紙で鼻を拭いたら、赤くなって痛くなるだろうが。
「これやだ。ローションティッシュ持ってこい」
「お前……、自分で取りに行けよ」
「ふぅん、じゃあ沖田君に言っちゃお。土方に泣かされま」
「わかった。行ってくるからここを動くな。そして総悟には一切俺の名前を出すな」
沖田君のどこが怖いのか。
彼の名を出すと土方は慌てて立ち上がる。
あんなに優しいのに。
そう思いながら、ぼんやり土方が立つ様子を眺める。
その視線に気がついたのか、土方は座ったままの私の頭に手を置いた。
「おい」
「何?って、髪崩さないでよッ」
「近藤さんはよぉ、不器用なんだよ。ただ、そんだけだ」
私が朝セットした髪をぐしゃぐしゃに崩し(撫でたとも言うかもしれないが)、訳の分からないことを言い始める。
そしてそれに満足したのか、マヨネーズ野郎はローションティッシュを探す旅に出た。
ちょっと格好つけて歩き始める。
探すのは鼻紙だけど。
土方が廊下の向こうに消えてから、私はそっと膝を抱えた。
やばい、泣けてきた。