銀魂
□ハッピーバースディ!
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「はいはい、本物ですよー」
「……そういや銀さん、今日お前に初めてお祝いの言葉もらったわ」
神楽と新八は朝早くからいなかった。
少し考えてみると、今日はほとんど知り合いに会わなかった気がする。
「そりゃそうよ、みんなこの瞬間の為に用意したんだから」
「へ?」
「私は彼女だから、って一番初めにしてもらったけど」
ふわりと、可愛らしい笑顔を浮かべた腕の中の彼女。
ちょっとだけ調子に乗ってキスをねだると、照れながらも唇を重ねてくれた。
やっぱこれ夢か何かか!?
この有り得ない状況に良い意味でドキドキしていると、彼女がするりと俺の腕から抜けた。
はっとして引き戻そうとするが、それより先に背中に回られる。
「さぁさぁ主役のご到着ですよ!」
愛しい彼女の声とともに襖が勢いよく開く。
万事屋の居間は、パーティチックに生まれ変わっていた。
「銀さん、おめでとうございます」
「また歳とったアルナ」
「おめでとう。今日はケーキ代わりにすごく甘い卵焼きを作ってみたの」
「人ノ誕生日ナンテ祝ウノ何年ブリカワカラネェヨ」
「プレゼントは家賃一ヶ月無料ってのはどうだい」
わいわいがやがや。
一斉に言われた言葉の数々に反応できずに、思わず後ろに助けを求める。
すると彼女はやはり微笑んだままでこう言った。
「(私を含めた)みんなにお返ししなきゃね!」
頑張れ銀時!
二千六年十月十日