銀魂

□そして私は恋をする
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「何であんたがここに……って言うか、どどど、どうしてそこに近藤さんが出てくるのよ!バナナは私が非常食用に買おうか買うまいか迷っていただけ」

「声が大きいでさァ。それに今更隠しても無駄ですぜ、この物好き」

にやり、と沖田が嫌な笑い方をした。
こんな時の彼は、もうSモードに入っている。

ちなみに私は沖田が苦手。
何を考えているかさっぱり理解できないし、何より意地悪だ。
だから私が近藤さん大好き、虎視眈々と狙っております、なんてことが知られてしまったら一大事なのである。

そう、一大事なのだ。

「でも近藤さんなら褌でも嬉々としそうでィ」

沖田は私が何も反応を返さないことをいいことに、足元のカゴを持っていこうとする。
いや、というか何故ここに沖田がいるのだろう。
今の時間帯は土方辺りと見回りではなかったのだろうか。
サボり?

「いや、見回り中に外からアンタの悩む姿が見えたんで」

「それも結局サボりじゃん」

「細かいことは言いっこなしでぃ」

ひょいっと沖田はカゴを持ち上げ、何の迷いもなく、今度は私が戻したバナナをそこに入れた。

何がしたいのだこの人は。

「近藤さんは欲しいものはほとんど自分で買っちまいますから。バナナ辺りならゴリラな近藤さんも大喜びでさァ」

親指をぐっと立てて見せる沖田に、思わず眩暈がした。
それ以前に、近藤さんはあなたの上司だろうに、一応。

するとその考えていたことが思い切り顔に出ていたのか、沖田は言った。

「何、近藤さんはゴリラと呼ばれたぐらいじゃ怒りませんて。ハートは傷つくけど」

「ダメじゃん、傷つけたらダメじゃん」

初めにバナナを選んだ辺りが私も同じなのだが、そこは気にしない。
しかし沖田は聞いているのかいないのか、ただ一つ溜め息をついて私を見ただけだった。

「……何?」

「いや、あの天然加減に傷ついてんのは、あんたも同じでしょうに」

呆れたように言う沖田に、私はほんの少し首を傾げた。



届かないのは俺も同じ。
ただただ、お前の幸せを願おうと思う。




fin...?




沖田くんも虎視眈々と狙っております。

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