REBORN!

□タイプの相違
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ここはまぎれもなく日本だ。

そう自分に言い聞かせなくとも日本以外に有り得ないのは、十二分に理解している。
だが、だがこの目の前の光景には、そう思わざるを得ないものがあった。

金髪と迷彩柄の軍服のお兄さんと、黒髪と黒スーツを着てどう考えても銃としか見えないものを所持しているお兄さん。
その両者が睨み合って、目の前で動かずにいるのだから。



タイプの相違



この道を通ることは、不可能かもしれないと私は思った。

彼らはじっとりとお互いを睨み付けていて、その二人の空間には花火が散っているような気がする。
しかもよりにもよって道の両端。
ここを抜けるには、火花散るその空間を必ず歩かなければならない。

どうしよう。

「女はスタイルだろう」

「いや、小柄の方がいいぜコラ!」

しかも会話の内容は、私には理解できないものだ。
そして何故、そんな会話で火花が散るのだろう。
個々の好みなのだから、意見を戦わせるものでもないだろうに。

「餓鬼が良く言うな、コロネロ。小さい方がお前に何かと都合がいいんだろう?」

にやりと黒い方がそう言った。
だが金髪の方も負けてはいない。

「腕に収まる大きさじゃ、あやしてもらえないしなぁ!」

これは通るべきではない。
そう直感する。

少しくらい遠くなっても仕方ないだろう。
巻き込まれるよりマシだ。
そろりと一歩、後ろへ後退する。

しかし、その日はトコトンツイてないことが続くらしかった。
後ろに小さな空の瓶が転がっていたのである。
まあ、それを私は全く気がつかずに踏んでしまったわけで。

「ぎゃっ!」

しかも、色気どころか可愛らしさもないような声を上げて尻餅をついてしまった。
恐る恐る前の様子を見てみれば、願いも叶わず二人のお兄さんは私に気がついたらしい。

じっとこちらを見ている。
見ている。

こ、怖い!

あのまま口喧嘩続けていれば良かったのに!
座ったままで固まっていると、金髪のお兄さんが近付いてきた。
その表情は極上の笑顔なのだが、私にはどう見ても地獄の入口の番人にしか思えない。

「大丈夫かコラ」

「……!」

返事もできないでいると、今度は黒髪のお兄さんが寄ってきた。

「コロネロ、お前、怖いってよ。もっと女性は丁寧に扱え」

後ろに漫画で良く目にするキラキラを背負いながら。

「立てるか?」

正直、両方怖かった。
私の僅かに残った野生の本能が、彼らから離れろと命令しているのだ。
関わったら、絶対にろくなことにならないと。

「や、へ、平気です!一人で立てますお邪魔しましたごめんなさいぃー!」

私は一人で立上がり、二人が唖然とする中一目散に駆け出した。
彼らは、幸運なことに追いかけてはこなかった。





「無視だな、コラ」

「あの小娘、折角出してやったオレの手を見もしなかった」

コロネロとリボーンは、両者ともその場に少しの間立ちすくんでいた。
転んで逃げ出した少女が去った後を、じっと見つめている。

「……リボーン、オレ、ちょっとこの辺り散歩してくるぜコラ」

ぽつりと、コロネロがつぶやいた。
そんな彼をリボーンは眉間にシワを寄せ、そして何かに気がつきニヤリと笑う。

「コロネロ」

「あ?」

「オレはスタイルが重要だと言ったが、あーいう小動物系も悪くないないと思うぜ」

バトル再勃発。

二人に出会ってしまった彼女は、本能の警告も空しく厄介なことに巻き込まれたようだ。




fin...




コロネロ:一目惚れ系。デレデレ。
リボーン:構えば構うほど系。ツンデレ。


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