SLAM DUNK

□陽炎
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ミーンミンミンミン…
ミーンミン……







「あっちー!!」

もわっとむせ返る空気を突き刺すように大きな声をあげる
夏休みの静まり返った校舎を眺めながら、体育館裏の水呑場に腰をおろす

「うるせーぞ、高野。
一年と一緒に外周行くか?」

レギュラー陣が体育館コートで練習の間は、1、2年は外周と屋外コートでの基礎練がベースとなっている
それは夏も冬も例外ではなく

「それは今はちょっと…!
あ、それより今週末の江の島の花火どうする!?」
「あ?」

練習ムードが一転する
流しで頭に水をかぶっていた花形が顔をあげた

「今年もどうせ雨だ。」
「そりゃそうかもしれないけどさ、今年は開催日変わったじゃん!?」

大会の近い今の時期、校内の必要最低限の行事以外はすべて切り捨ててきた
だが江の島の花火大会は息抜きを兼ねて毎年練習を早めに切り上げ、バスケ部ほぼ全員で見に行っていた

「でも、今年で最後なんだぞ?」
「だったら、皆でバスケ部として行けるのも今年で最後だ。」

窘めるように声をかける藤真にくってかかる

言いたい事はよくわかる
バスケ部として全国に行くのも重要
だが、このメンバーで翔陽バスケ部として行動できるのもあと僅かだというのも現実だった

これだけ長い時間一緒にいた大事な仲間だからこそ、思い出も大事にしたい
口には出さないが常々皆が思っていた事だ

「なぁ、藤真ー。」
「…わかったよ。」

その場にいたメンバーがどっと湧いた
誰もが楽しみにしていた花火大会
でも頭の中ではバスケ以外今はダメだと押さえ込んでいた

「そのかわり!前後三日間は朝1時間追加だからな!」

そんな指示など聞こえないように皆嬉しそうな声をあげている

「じゃあ、当日6時に浜ランの時の集合地点な。」

江の島と言えば翔陽ではお馴染みの集合場所
大勢で駅前にたむろしては迷惑がかかるといつの間にか決まっていたポイントだった
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