お題小説

□輝くあなた
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 その当時、かの国は天つ神の気紛れにより雨の恵みが乏しかった。人々は地を這い、大地に根ざす植物を貪って必死に生きている。
 その夏は前例にない程、旱魃が厳しかった。領主である神田宗一郎は、絶対確保しなければならない国への税すら賄えない民の収穫の少なさを憂いていた。

 神田家にある義倉はとうに尽きている。つまり蓄えは全くないに等しいのだ。その状態で今期の国税を納めることは不可能であり、村は雨を欲していた。

「徳の高い巫女を呼んで天つ神に雨を請うて貰ったらいかがでしょう?」
 ある時、神田家に仕える臣下、田上唯臣が提案してきた。
「そうだな…では、咲季女様を呼べ」
「ははっ!」

 巫女による祈祷は3時間にもわたった。咲季女は最後に奇声を発し、失神して倒れた。

 祈祷は失敗したらしい。
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