小説

□クリスマス
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「中尉、今度の土曜は空いてるかね?」
「中尉っ土曜日、用事ありますっ?」
「ホークアイ中尉、今度の土曜は非番ですよね?食事でもしません?」
「中尉………………」



何なのかしら………。
みんなして土曜日土曜日と………
25日は特に何もないけど………何だかこんなに声を掛けられると怖いわ……。

「あっ、ホークアイ中尉」
「あら、アルフォンス君」
声に振り向いてみると………そこにはアルフォンス君1人が立っていた。
「あら?今日は1人?」
「はい。兄さんが1人で大佐のところへ行ってるので」
「あら珍しい。それじゃあアルフォンス君は置いてきぼりを食らっちゃったのね…」
「あはは………。ところでホークアイ中尉。今度の土曜って…仕事ですか?」
アルフォンス君まで…?
「非番だけれど……それがどうかしたの?」
「土曜はクリスマスだから、兄さんにプレゼントを上げたいんです。それで、一緒に選んでくれないかな…って……」
「……クリスマス………」
そうか…今度の土曜はクリスマスだったんだ……。
軍人になって………初めての非番のクリスマス………
今まで仕事だったから…クリスマスなんて意識してなかったわね………。
「いいわ、買い物なら、付き合ってあげる」
「ありがとうございますっ」
アルフォンス君は丁寧に頭を下げた。
「いいのよ」
私は自然と笑顔になっていた。
「てっきり誰か一緒に過ごす人がいるんだと思ってたから…」
「あら、一緒に過ごす人はいないわよ?人は…ね」
「?」
私の言葉に、アルフォンス君は首をかしげた。
「じゃあ、25日に…ね」
「あ、はい。お願いします」
そう言って私達は別れた。


 クリスマス当日………

「お待たせ。アルフォンス君」
「あ、ホークアイ中尉」
私が待ち合わせ場所に行くと、既にアルフォンス君が来ていた。
「ごめんなさいね、遅れてしまって」
「いえ、約束の時間までまだ15分ありますから、遅刻したワケじゃないですし…」
「それでも、遅れたことには変わりないわ」
「いえっいいんです。ボクが頼んだことですし………」
何だか、こう言ってるとキリがないわ………
「さ、行きましょうか。アルフォンス君」
「っはいっ」
アルフォンス君はとても嬉しそうな声を出した。
余程楽しみにしていたのね。

「あっこれなんかどうかしら?」
「これ、エドワード君に似合うんじゃない?」

私とアルフォンス君はエドワード君に似合いそうな服やアクセサリーなどを探した。

「ありがとうございました。中尉。お陰で、いいプレゼントが買えました」
「いいのよ。私も楽しかったわ」
「あの…中尉。これ………」
そう言ってアルフォンス君は小さな紙袋を出した。
「アルフォンス君………?」
「今日…付き合ってくれたお礼です」
「いっいいのよ…っそんな……」
私は慌てて答えた。
「いいんです。受け取ってください。中尉のために……買ったんです…」
「………」
私には、受け取るしか選択肢はなかった。
アルフォンス君の気持ちを………無碍には出来ない。
「…ありがとう……」
「開けてみてください…」
私はアルフォンス君の言葉に従った。
「あら…ピアス………」
「その…中尉に似合うと思って………////」
照れているらしい。
声の調子で分かる…。
「ありがとう」
私はアルフォンス君に微笑んだ。
そして、私はさっそくピアスを付けた。
「……どう……かしら…?」
「あ…やっぱり…よく似合う……」
「ありがとう」
私はにこっと笑いかけた。
「えへへ…っ///それじゃ」
「えぇ」

アルフォンス君はそのまま去って行った。
恐らく、エドワード君のもとへ向かって………

「さて、私も…帰ろう………」
帰ったら………彼がいる…。

「ただいま」
「ワンッ」
私が家に帰ると、ブラックハヤテ号が飛びついてきた。
「ウフフ。ただいま」
ブラックハヤテ号は嬉しそうに尻尾を振っている。
「ほらほら。食事の用意をするから、大人しく待ってなさいね」
「ワンッ」
ブラックハヤテ号は、リビングの方へ歩いていった。
そこで、私が食事の準備をするのをいつも大人しく待っている。
人間の男より………よっぽど利口だし、可愛い…と思う。
当分、恋人は………ブラックハヤテ号で十分よ…。

End

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