夢。龍が如く

□おめでと。
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おめでと。


『ごめん。今日は仕事忙しいから無理なんだ…。』

誘いに断っているのは私。
今日の仕事は何時もより多い。


大好きな彼からの誘いの電話だったけど、渋々断った。

「何やねん。今日やなかったらアカンわ」

電話先で少し怒っている彼が想像出来る。
でも…、今日は…重要な仕事内容だ。やっぱり会社に支障が出るのは避けたい。

『ごめん。』

太郎は電話を一方的に切った。最低だと思っている。
でも、昼休みの時間はもう終わりだ。仕事の時間を削ったら流石にまずい。


太郎の仕事は事務職だ。

それなりの名の知れた企業。
忙しいのは当然。


当然だけど…、彼に会えないのは寂しい。

さっき、携帯の電源切ったけど電話はどのくらい来ているだろうか…。

あー…、声だけでも聞きたい。


『真島さん…』

愛しさで声を洩らした。
誰にも聞こえないように。




バンッ。

扉が勢い良く開いた。

私は驚いた。ってより、社員全員が驚いていた。


でも、それ以上に驚いたのが。

「迎えに来たでー」

真島さんが扉を開けた犯人だという事。

私は驚きのあまり真島を見たまま身体が動かない。

「ほな、太郎は頂くわ」

そう言って彼は私を抱き上げ、事務所から出ようとした。

「って!…、警察だ…!」

ある社員が声を上げた。

その言葉に真島は反応し、
「俺はええけど。太郎の事、警察に突き出すような事言ってみ?そん時はお前の命無いで」
と言っては出ていった。


たった一言で皆は恐さで何も出来なかった。




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