【桜乱】Short S

□破片
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 “ぼく”は嫉妬深い人間だったのかもしれない。














 成績が思うように上がらないと

悔しかった。




 出来る人間が周りにいたから

尚更悔しかった。








 褒められない、自分だけが褒められないような感覚が

悔しかった。






 “ぼく”だって頑張っているじゃないか。






だが認められない。



認めてもらえない。








 何故?



 偏見である。





 “ぼく”の“頑張った”は別からの“もっと頑張りなさい”になるのだ。




 偏見だ。




 “ぼく”の壁だけ高くして、周りには“よく頑張った”なんて、

 なんて不公平だろう。なんて不平等だろう。










 嫉妬した。


 妬み、否定し、


嫉妬したものを
嫌いになりかけた。



 それでもまだ、
     深くなる。






 狂ったのか、どうしたのか、
抑えられなくなった。







 不満をぶつけて、怒りをぶつけて

自分でもわけがわからない





 そして










他者を傷付けた。


 心の中で留めておけばよかったものを

吐き出してしまったばかりに





 その時、わけもわからず暴れていた解放感がふっ飛んで

重く深い罪悪感に襲われた。




 我にかえる



そして嫉妬の怖さを知った。





 いや、



自分の嫉妬の深さを知った。







 だから、“ぼく”は嫉妬をなくそう。



嫉妬する心を忘れよう。




 嫉妬だけじゃなく、他のことも、色んなことを




 忘れることで初めて正常になれる“ぼく”は、





端からみれば
 狂っているのだろうか。




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