【桜乱】Short S

□破片
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 “ぼく”は弱い。







 弱くて臆病だ。














 “ぼく”が弱いのは
    一体誰のせいだろう。














 暗い所が怖かった。


 狭い所は
    好きじゃない。

広い所は…どうだろう
広すぎるなら好きじゃない。







 一人でいるのは
    嫌いじゃない。


でも、一人は嫌だ。














 “ぼく”は自身が大事だ。

他の誰よりも
  “ぼく”が大事だ。



 天秤はいつも同じ方へと、
傾いていく。











だけど
“ぼく”を好きになれない。





好きになれない?





違うよ。













むしろ嫌いだ。




弱い自分が。





 どうすれば、どうなれば

好きになれるだろう



なんて、





つくづく“ぼく”は弱い。










 時々嫌な夢をみる。





よく覚えていないようで

実に鮮明な部分もある




 とにかく嫌な夢をみる。









 そんなとき“ぼく”はすぐに助けを求めてしまう。










 怖かったんだ


この怖さを聞いてくれ


 悲しかったんだ


この悲しみを知ってくれ


 辛かったんだ


この辛さを分かってくれ




 そうやって助けを求め
嫌な夢を
分散することで保たれる自身。







 苦しいことは好きじゃない。



だけど

他者も同じような苦しみを味わえばいいと思う。



 “ぼく”だけが苦しいのは

変だ。




 痛いことは好きじゃない。







 だけど

他者も同じような痛みを味わえばいいと思う。



 “ぼく”だけが痛いのは

おかしい。



 天秤はいつも同じ方へと、
傾いて





 “ぼく”が弱いのは
    一体誰のせいだろう。




 “ぼく”のせいであり

他者のせいだ。








 “ぼく”が狂ってしまうのは
    一体誰のせいだろう。




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