【桜乱】Short S

□残念な
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「残念なイケメンっているじゃん?」


 と言い出したのは作者もとい、ヌヌっちもとい、…きのこ。
 文章ですが一応お伝えしておくとビジュアルも、きのこ。
「いや、何だよいきなり」
 葉一は非現実的な姿の作者もとい、以下略きのこに応答する。
「いや、残念なイケメンについてちょっと話したくてさ」
「いや、だからって何で俺らがこんなとこに呼ばれるの」

 この空間の中にはきのこと今のところ登場済みの男性陣。つまり松下洸也、小林葉一、朝賀寛人の3人+1きのこ。
 ちなみに空間は簡単な部屋を想像して頂ければいい。いわゆる男子会的なあれだ。きのこ混じってるけど。

「いや、もう『いや』はいいよ。何回連続使用するつもりさ」
「いや、別に連続使用のつもりはなかったんだけど…」
「いや、狙ってたっしょ」
「いやそんなことないって」
「いや絶対狙っ」
「いやいやうるさいな!」
 耐えかねて洸也が止めに入る。
「打ち消しまくりだったねー」
 その後ろで寛人が軽薄に笑う。きのこは洸也に向かって弁解を始める。
「いやね、」
「もう『いや』はいいから!…その話をするために何故僕らが呼ばれたかちゃんと説明してください」
「そりゃあ、あれ…














君たちが残念なイケメンだから」


 …………。


「あるぇ?何?反論も否定もしないってことは?ん?自分が、何?イケメンだと思ってるわけ?え?はっはwwwねぇー洸くん」
「ッて何で僕に集中攻撃ッ!?違うよそんなっ…、思うわけないじゃないですかっ!」
「えぇホントにー?まあそっちが思っても思わなくても?俺洸くんのことをね、そんなね、外見も内面もイケメンだとかね、思ったことないからねはははwwwwww」
 自分が慌てて否定する中、ニヤニヤしながら鬱陶しくねちっこく話しかけてくるきのこが素晴らしくウザいなと洸也は思いました。





 ひとまず大きな机を囲んでみんなで座ってみた。中央にお菓子とか置いてみたらほら、座談会っぽいでしょう。
 ご想像ください。

「でもほら、洸也は優しいよ?」
 葉一は無意識にフォローする。だがそれを切るようにきのこの一言。
「優しいけど…、あれじゃん。優しいくらいじゃんいいとこ」
「さりげなくひどいこと言いますね」
「そんなことないよ。洸也には良いとこいっぱいあるって」
「え……葉一さん…」
 そう言ってもらえると嬉しくなる。
「じゃあ具体的にはどんなとこ?」
「……ぃ……色々…」
 ああ嬉しさもフォローも台無しだよ。
「あ、じゃあ嫌な事は忘れるところとかは?ポジティブな感じに聞こえるよ?」
 寛人がお菓子を口にしながら話に入る。きのこは手と思われる線をブンブン振る。
「んにゃ、それは設定的には寧ろダメなところだよ。コイツ嫌だと思ったらすぐ現実から逃げて忘れちゃいけないことまで忘れちゃうからさーホント、洸くんは―」





「ほぼゼロ距離でドスドス刺されたらそりゃ胸も痛くなりますよ…てか今回って設定とかそういう発言ありなんですかね…?」
「…元気出せよ」
 体育座りで完全に凹んでる洸也はとりあえず葉一に慰められていた。

「…ま、俺は自分のこと割りとイケメンだと思うけどなぁ」
 と言ったのは寛人。
「寛人さん勇気ありますね…」
 洸也はぼそりと葉一に言う。
「まぁヒロは自画自賛好きだからな」
 すごい納得の仕方だ。それはつまりナルシストと言いたいのか。
「ヒロは…そうだね。割りと、割りとイケメン寄りだと思ってるよ」
 しかもきのこは否定しなかった。洸也は何だか悔しいと思いました。
「中、高の学生時代割りとチョコとかもらえてたのかななんて思ってみる。多分今もかな。兄貴肌だし、内面的にも良いとこ"だけ"見ればかなりイケメンなんじゃないかなって!」
「そっかーじゃあそう見えないのはどっかの人の画力不足が問題かな☆」
 さりげなくドスリと攻撃が入る。
 突然現れた矢印がきのこに突き刺さって「ぐふぅ!!」となっているのを洸也は見た。
 この部屋何でもありなのか。
「……うぬ、ごめんて☆でもさ、
ヒロが一番残念なイケメンの例だよね」





 謎の間。


「どこら辺が?」
「変態じゃん」
「変態じゃなくて変態紳士だよ」
「変態紳士じゃん」

 ……。

「変態紳士のどこがいけないってんだ!」
 その切り返し自体がアウト。
「"変態"が付いてる時点で残念なんだよ!なんなら2次元と戯れちゃってる洸くんも同じさね!洸くんはイケメンてわけじゃないけど!」
「だから何で僕を攻撃するの!?」
 今のとこ洸也が一番ダメージを受けています。
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