【桜乱】Short S
□Happy Valentine?
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■勘違い
現在地、短編用雑談部屋。
今回もまた、男性陣三人がこちらに呼ばれて来たのだった。
「洸也殿洸也殿っ」
「どうしたんですか寛人さん」
「“バレンタインデー”って何の日だか知ってる?」
「いっ、いきなり何を言い出すんですか…」
寛人はケータイを取り出して説明する。
「ケータイの辞書によると“相愛の男女が愛を告白し、カードや贈り物をとりかわす日”らしいんだ。……洸也殿、何かおかしいと思わないかぃ?」
「…?おかしいって?」
「相愛だよ」
「相愛?」
「そう。つまり互いに愛し合ってるってことだろ!?」
「はい…。え?」
それのどこがおかしいと言うのだろうか、という疑問だ。
「俺たちは、相愛でもない女の子から贈り物(チョコなど)をもらっているじゃないかッ。それってどうなんだ!?」
「…………」
洸也は冷めた目になり黙り込む。
「…あり、どうしたんだ洸也殿」
「……それは、もらえる人だから言えることですよね」
「……、んー?」
寛人は口角をあげた上で目を逸らす。
「ごまかす気もないんですね!」
「まぁ事実もらってるからさ☆」
そしてドヤ顔。僕が美紗紀ちゃんだったらスティック(鉄パイプ)をお見舞いしているのに、と洸也は思った。
「まぁ、確かにそう言われると“相愛の男女”でのイベントではなくなってますね…」
少女漫画とかでよく見る、乙女が気になる相手のために奮闘する絵を頭に浮かべる洸也である。
「そうそう、本当のバレンタインデーを楽しんでるやつは少ないわけよっ。女性が男性にチョコレートを贈るっていう一方的な風習は日本だけだからねぇ」
「嫌な言い方だなぁ…」
「でもそういうことだろう?」
この変態野郎め、全国の片想いな乙女たちに謝れッ。
「違う変態紳士っ!…って、作者(きのこ)さんいたのかぇ」
おぅいえ!と作者(きのこ)は言った。
あれ、そういえば葉一が見当たらないぞ。あ、ヤバい呼んでなかった、と作者(きのこ)は思った。
「色々丸聞こえなんですが」
ガチャ
「あれッ?何だここ」
どこからか扉を開けて葉一がやってきた。
「葉一、“バレンタインデー”って何の日か知ってるか?」
「…え?」
「またその質問ですか!?」
相愛だろうがそうじゃなかろうがもらえるならどっちだっていいじゃん!
が洸也の本音である。
「バレンタインデー……っああー、2/14の?」
思い出したように葉一は言う。
待て、2/14以外ないだろう。どんだけアンタの中で影薄いんだバレンタインデー。
なんて思っていたらこの葉一という男、さらに爆弾を落としてきた。
「あれでしょ確か、“女の子がみんなにチョコとかお菓子とかを配る日”」
「「…………」」
聞いていた側は二人して何言ってんだコイツ、という顔。
「葉一さん」
「ん?」
「その…、バレンタインデーにいつもいくつもらっ…配られてるんですか?チョコとか」
洸也は葉一に合わせて話す。
「えー…?学校行ってた頃はクラスの子も先輩とかもみんなくれたし、毎年常連のお客さんもくれるし、沙夜たちもくれるしなぁ…あ、でもホワイトデーは男が配んなきゃいけないだろ?もらった人みんなに返さなきゃいけないからいつも大変で…」
「…なんつーか、素敵な勘違いだなオイ」
寛人の言葉に“?”を浮かべる葉一だった。