07.vol1

□-an eternal flower garden-
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ある一軒家に四人の兄弟が住んでいた。
上から順にフラウ、エレン、タカ、アユ。
フラウもエレンもタカも末っ子のアユを溺愛していた。
そんな彼らの日常生活を描いたものである。




〜Flower morning〜


ピピピピピピ……バシッ


部屋に鳴り響いた目覚まし時計を止める。
しばらくの沈黙の後、のそっと一人の少女がベッドから身体を起こした。


「ふあああ…」


欠伸を一つして時計を見た。


「7時…か…。あっ!」


何かを思い出したかのように急いで着替え始め、一階の台所へ駆け下りた。


「お姉ちゃん!ごめん、遅く起きちゃった…」
「いいよいいよ、たまにあることだし…」


アユの二つ上のエレンがくるっと振り返って笑った。
栗毛色の髪を持つアユよりかなり茶色く、所々金髪が混じっているエレンはモデル並みに可愛い。


「そろそろ朝ごはん出来そうだから二人を起こしてきてくれる?」
「うん」


タタ、と台所を後にし、アユは軽やかに階段を昇っていった。

階段を昇り切ると、すぐ近くにタカの部屋、その隣にエレン、アユ、一番奥にフラウの部屋がある。


「タカ兄ちゃん、起きてる…かな?」


タカの部屋のドアをノックした。

コンコン

しかし、返答は来ない。


「やっぱりまだ寝てるのか…」


少しガックリしたものの、ドアノブに手を掛け回した。

ガチャ

部屋に入ると一人の少年がベッドの上で規則正しい寝息をたてながらすやすや寝ていた。
年を感じさせない、可愛い寝顔だ。


「相変わらずタカ兄ちゃんの寝顔は可愛くていいなぁ」


そんなことをつぶやき、タカの肩を揺さぶった。


「タカ兄ちゃーん、朝ごはん出来るから起きてー」


寝起きが悪いのか、身体を反らしてしまった。
してまた眠りにつき、規則正しい寝息をたて始めた。


「もう…」


強行手段に入ったアユは寝ているタカの上にまたがった。
そして襟を両手で掴んで叫んだ。


「起ーきーてー!タカ兄ちゃーん!!」


あまりの声の大きさにタカの眉と指が同時にピクッと動いた。

やった…!やっと起きた、と思う否や、突然向こうから手が伸びてきてアユはその中に入ってしまった。

トサッ

何が起こったのか、という考える暇もないまま上下が逆転していた。


「ふぇ…?」


アユがポカンと口を開けていると上から声が降ってきた。


「ったく…誰かと思ったからアユじゃん。おはよ」
「お、おはよ…タカ兄ちゃん…」


まだいまいち状況が掴めていないらしい。


「…タカ兄ちゃん…ずっと起きてたの?」


恐る恐る訊いてみた。
タカの顔には眠気が何処にもない。
たった今起きたとは考えにくい。


「んー。ちょっと前から起きてた。アユがあまりにも可愛く起こすからついオレ捕まえちゃったじゃんvv」


ちょっと犯罪に触れるようなことをさらっと言った。
タカの話によると、タカの上にまたがっていたアユを両腕で捕まえ、そのままベッドに押し倒したと言う。


「ほら、兄貴のとこにも行って起こしてこいよ」
「うん」


タタタタ…


また軽やかに部屋を出て行く。
朝から妹の可愛さを十分に浸ったタカは朝ごはんを作り上げ待っているだろう、エレンのところへ行った。
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