水面に写る彼は。

□水彼1
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ある日の月曜日、いつものワグナリア。

「香織ちゃんお疲れさまー!」
『ぽぷらも学校お疲れ様』


今は時計の短い針が5を指し、長い針が2を示そうとしている。
只今時刻は17時8分を示す。
そんな時に学校帰りのぽぷらがバイトに入ってきた。
どうしてぽぷらはこうもかわいい。
なんて暢気なことを考えていると相馬さんがやってきた。

「種島さん、学校終わったの?お疲れ様ー」
「あっ、相馬さん!ありがとうございます!」
にこにこと笑いながらお礼を言うぽぷらもかわいい。
え、小鳥遊くさい?
だってぽぷらが可愛いんだから仕方ない。

『ぽぷら、今来たばっかってところで悪いんだけど、3卓さんにお冷回してくれる?』
「わかったー!」

素直な子は可愛いよなぁ、なんて言葉が思わず口から漏れてしまった。

「立川さんって相変わらず種島さん好きだよねー」
『相馬さんと違ってすごく素直で小柄で可愛いじゃないですか』
「俺立川さんには結構素直な方だと思わない?」
私だけに素直って気持ち悪い、なんて言おうとしたらキッチンからフライパンを持った佐藤さんが来て
「思わん。いいから働け」
なんて言いながらフライパンで相馬さんを殴るものだから仕方なく止めてあげた。

『佐藤さんもそこまでにしてあげてよ』
「なんだ立川。お前は相馬派なのか」
『派とか関係ないじゃないですか大人げない』
「あ?」

あ、佐藤さんちょっと怒った、怖い。
でも見た目だけで屈しない…。

『だってただでさえ使い物にならない相馬さんをこれ以上殴ったってもっと使い物にならなくなるだけじゃないですか。それに』
「立川さん不思議と饒舌なんだね…」
そんな相馬さんの呟きは華麗に無視でもしておこう。
だって今は私が話しているんだもの。

『相馬さんを殴る佐藤さんの体力がもったいないです。その分働いてみたら1割の確率で給料が上がるかもしれませんよ』

まぁ杏子さんのことですから給料なんてあがらないに等しいんですけどね。

そういうと佐藤さんは大人しくキッチンへ戻っていき、私と相馬さんでその後姿を見届けた。
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