チェシャネコの悪戯
□特権。
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君は、一人になるのを嫌がるくせに、少し傲慢で傷付きやすい。
いつも僕が弱音を吐くのに、君が弱音を吐くと驚く。
だって、これ程嬉しい事はないから。
だって、君は自尊心が高くて、弱音なんて簡単には吐かないから。
僕は君に信頼されているんだなって思う。
僕は君と長く付き合っているけど、一度も涙を見たことがない。
幼い頃は「泣かせてみたい」なんて思ってたけれど、今はそんな馬鹿馬鹿しいことは思わなくなった。
君が涙を流したから。
僕じゃない誰かが君を傷つけた。
慰めてあげたいけど、僕には何の術もないから。
僕は君にとって、ただの男友達でしかないから。
永遠の友達。
恋人にはなれない。
それでも傍にいようと思った。
君の涙を独り占めしていいのは、僕の特権だから。