longstory
□初めての喧嘩
2ページ/3ページ
私は、今さっきまで没頭していた花冠の製作の手を止めた
出来上がった冠は、甘い香りを放ち、絵本から抜け出たような姿に満足した
早速乗せてみるものの、自分の金髪に黄色いタンポポはあまり映えない…
私は、うとうとしはじめているシカマルの頭にそっと乗せてみた
シカマルの真っ黒な髪の毛に、タンポポの黄色が綺麗に並んでいて、思わず口元を緩める
(シカマルが付けたら孫悟空みたいだなぁ)
「シカマル」
「…」
私は、いつの間にか、スヤスヤと寝息をたてて、瞼を閉じているシカマルに声をかけるが、返事が返ってこない
「ねぇ…シカマル?」
シカマルは呼んでも起きてくれない
私は、夜叉丸の言葉を思い出した
『困ったときに開けて下さいね』
私は、自分の首からぶら下がっている赤い袋を開くと、中に酢昆布が一枚入っていた
「シカマル!酢昆布あげるから、起きてってば」
「酢昆布…」
ようやく起きたシカマルはまだ寝ぼけているみたいで、中々たとうとしない
「早くいこう、暗くなってしまう」
「めんどくせぇ…」
「お前…お使いの途中だぞ?」
「もうめんどくせぇ…眠い…先帰ればいいじゃねぇか」
立たせようと引っ張ってみるが動かない
「はぁ…もう知らないからな!」
私は、酢昆布をしゃぶったまま、ピクリとも動こうとしないシカマルに苛立って、買い物袋を引ったくると、1人で家路についた。
(同じ道だし1人で帰れる、シカマルも自国なんだ、1人で帰れるだろう)
、