好きと言ってない

□第10章
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学校ではマリコの突然の引退の話題で盛り上がっていた。


でも、俺はそれどころじゃない。


今この学校にいる間にも琉生の病状が悪化している。


それを思うと落ち着かねぇ。


「丸井先輩……」


「赤也」


廊下から赤也が顔を覗かせてきた。


「マリっ…じゃなくて、琉生先輩は大丈夫なんすか?」


「っ!」



「丸井先輩?」



「赤也、ちょっと付いて来い」



「えっ?あ、ウィッス!」



俺は教室を出た。



行く所は1つだ。



俺は、琉生を守る。


「幸村、ちょっといいか?」


俺は幸村の机の前に立った。


「何?丸井」


「しばらく部活休ませてくれ!」



「「えっ!!」」



「頼む!この通りだ!」



俺は思いっきり頭を下げた。



幸村や赤也、突然現れた真田や柳が驚いた。



そうだよな。



こんな大会前にレギュラーが部活休ませてくれなんてよ。



「どういうことだ丸井!!」



「俺、やらないといけないことがあるんだ!」



「何だそれは!!」



「そ…それは……」



言えねぇ。



琉生と約束したんだ。



誰にも言わねぇって。



「言えねぇ……」



「なっ!歯をくいしばれ丸井!」


真田の手が振り上げられた。



鉄拳か!






「待ちなよ、真田」



「待って下さい!副部長!」





赤也と幸村の声が重なった。



「何か訳があるんだろ?」



俺は頷いた。



「ん〜……。


戻ってきた時にはレギュラーじゃないけど、それでもいいのかい?」



「そんなの、覚悟してるぜぃ!」



「ふふっ。丸井がこんなに真剣なの初めてだ」



幸村は小さな声で言うと、笑った。



「いいよ。特別に許可するよ」


「え!?」


「むっ!」


「マジ!?幸村!?」


「幸村!」


「必ず戻ってきなよ」



「おう!戻るぞ赤也!
ありがとな!幸村!」



「待って下さいよ!
ってか、俺来た意味あったんすか?」



「んなの、俺が真田に鉄拳もらうときの身代わりに決まってんだろぃ」



「はあぁぁぁ!?」


俺と赤也は教室を出た。


これで、琉生に会いに行ける!
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