好きと言ってない
□第9章
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「えっ……。ここって………」
俺が連れて来られたのは
病院だった。
琉生…………
お前はここにいるのか?
「丸井くんには話すべきだったのかもしれない」
病院の廊下を歩いているとき、要さんが小さな声で言った。
「琉生はエイズなの」
「えっ……」
エイズ?
「小さい時、交通事故で大怪我をしたことがあったの。それで輸血してもらったのが原因らしいの」
「でも、あいつそんな素振り見せたことないっすよ!」
「相当無理してたらしいわ。撮影中も何度もトイレに駆け込んでいたの。
でも、琉生はみんなの前では常に笑顔で明るくしていたわ。
みんなに心配かけたくなかったから」
「俺………気付けてなかった………」
「丸井くん………。
あ!ここよ」
『集中治療室』
そんなに危なかったのか?
それに俺は気付けなかった。
中に入ると俺は現実にぶち当たった。
「琉生……………
嘘だろ………」
ベッドで眠る琉生にはたくさんのチューブが繋がれていた。
琉生の病状の重さを思い知った。