wonder Alice.

□24 再会
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「ヒナタさん、もう泣かないで? 俺は大丈夫だから」
「う、うう、ヒソ、ヒソカ、ちょっ、ちょっときてぇ!」


 私を慰めるためにゴンくんが頭を撫でてくれるのは嬉しいけど、正直この状況はかなり小っ恥ずかしい! 逃げたい!

 だって盛大に調子こいて、盛大に失敗して、こんな小さい子に情けをかけられるなんて、そんなの生き地獄すぎる! 涙よ止まれ、止まって、お願い!


 ヒソカはにこにことこっちに来る。遅い! もっと猛ダッシュで駆けてこいよ!


「なぁにヒナタ? 試験おめでとお〜って言って欲しいのかい?」
「うりゅさい! いいから抱っこ! 早くここから脱出して! エマージェンシーエマージェンシー!」
「……はいはい。なんというか、君って可愛いねえ」


 ゴンくんはヒソカに任せていいものか悩むような表情をしているけど、私は今すぐここから逃げるという大事な使命があるのです。


 ああ、でも、キルアくんに何か残していかないと、少しでもいいから、ほんの少しでもいいから私の気持ちを残していきたい。
 未来は変えられない。私の知らない未来にする訳にはいかない。
 でも、それでも伝えなくちゃいけないことがある。



「ヒソカ、脱出する前にキルアくんのとこにGO!」
「君、今すっごい目立ってるよ? 会長とかすっごい爆笑してるよ? いいの?」


「うーるーさーいー!」


 ヒソカの背中をぱかぱか殴って催促する。
 向こうの壁に背をあずけていたキルアくんはなんとも言えない表情で立っている。

 分かるよ、私も同じ状況だったら苦笑いしか浮かべられない気がする。ほんと、ごめん。最後まで迷惑かけっぱなしだ。



「おー、ヒナタ平気か?」
「あのね、キルアくん!」
「お、おう。なんかすげえ状況だな」

「っキルアくんは一人じゃないからね! 私もいるし、ゴンくんもいるし、だから――私たちがキルアくんを大好きなの忘れないでね!」


 よし、満足!


 私のミッションはこれで終了しました。ただちに帰還します。
 ああ、ネテロさんの笑い声が響いている。というかイルミがすっごい目で私を見ている気もする。でも面倒だから無視だ! オールスルーだ! イェーイ!

「それじゃあ彼女は連れて行くね」
「ほっほっほ、説明会にはちゃんと参加するんじゃよ」
「ふぁーい」

 そのままヒソカに抱っこされて会場を後にする。あれ? そもそも抱っこしてもらう必要はあったんだろうか?



 ……ないよね?










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