狩人
□エマージェンシー
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緊急事態が起きた。
なんと、クロロのお気に入りの絵画を誤って破いてしまった。どうせいつかは飽きると言っても、今はまだお気に入りの一つだ。きっとお小言だけでは済まないだろう。
途方に暮れて、現実逃避をしたくなったが、変えられない現実が目の前にあった。涙でも零せば許してくれるだろうか、それは少し楽観的思考だ。
いつまでもこうしていても仕方が無い、のろのろと立ち上がって、ついでに絵画を持ち上げた。見事に破れていた。
間近で見れば見るほど破れていた。ただ私は、クロロの部屋で読書をしていただけだと言うのに、ちょっと飲み物が欲しくて立ち上がった拍子に、足を滑らせて運悪く絵画に爪を立ててしまったのだ。
あんな無様な姿は誰にも見られたくなかった。それと同じくらい、この絵画をクロロの目に触れさせたくなかった。
今すぐに、こんな絵画いらないと言ってくれれば良い。そうすれば、じゃあそれは私に頂戴、とでも言って回収できるだろうに。
とにかくクロロはガキだ。
興味の無い物はてんで大切にしないくせに、興味があったり大切にしている物には、触れるだけで毛を逆撫でる、困った男だ。
「ヒソカにでも頼んじゃおうかな」
あの男のドッキリテスクチャーでも修復不可だろうが、駄目もとで試してみる価値はあった。
クロロが帰ってくるのはまだ大分先だ。集まりの悪いヒソカなら、今回の仕事にも不参加だろう、と、当たりをつけた。
早速メールを打てば、暇人なのかすぐに返事が帰って来た。メールでもトランプマークを使用するのだから、どこぞの十二支よりもよっぽどキャラ作りに勤勉だ。
とりあえず簡潔に今の状況を伝え、言い値で良いとメールを送った。
性格の悪いヒソカの事だ、きっとかなり吹っかけられるに違いなかった。思わずため息が出た。
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