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□やっちゃったのが早くて悩む光の話
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「なあ光ぅ・・・ええやろ?」

その後部活が終わった後、謙也さんちに遊びに行った。
俺はベッドの上で寝ころびながら雑誌を読んでいたら、謙也さんが覆いかぶさってきてこう言った。

「今度はな、光を後ろだけでイかせてみたいんやけど。」

それを聞いたら、謙也さんのあそこの熱さとか硬さが感じられるようで、ちょっと興奮しかけた。
だけど・・・・・・。

「いやや・・・・・・。」


俺の肩に絡んだ、謙也さんの腕をほどいた。

「どうしたん?光。嫌なん?」

「今日はそんな気分じゃないねん。」

「・・・そか。じゃあ仕方ないよな。・・・なんか、お菓子とか取ってくるな!」

とちょっと悲しそうな顔した謙也さんはそう言うと、バタバタと階段を下りていく音が聞こえた。

「ほら!光の好きなぜんざい。いつも冷蔵庫に常備してあんねんで!」
ぜんざい?それで俺を釣ろうってゆうのか?
「どした?食わんの?」
「・・・・・・。」
「やったらスピーディーちゃんにあげるか・・・。」

「そんなもんイグアナにやったら体おかしなりそうやわ。」
「食わせてほしーっすわ。」
「ん?どうした。甘えんぼさんやなあ。かわいいやっちゃ。」
「ほらあーん。」
期限をよくした謙也さんはスプーンを俺の口に持ってきた。
「・・・うまい。」
「やろ!?ぜんざいもな、いろいろな種類の買ってきてんねんけど、これ光がうまいって言うたからまたこうてきたねん!」
ドヤっ・・・とした顔で言うた。
そんなキラキラさせた顔で言うなや。
パッケージを見たらデパートとかで売ってる、京都の老舗和菓子屋の鳳凰堂のものだった。結構高かったんやないか?これ。

・・・って、甘いもんで俺はほだされへんでっ
俺を騙した謙也さんの罪は重いでっ!

「あっあとなっちょっと見てみいや。光が好きなゲームも買うたんよ!」
ばたばたとどこかへ行った謙也さんは、前に俺がおもろいって言うたゲームを手にしていた。
ふーん、そうか。・・・まあゲームくらいならやってもええかな。
俺らはゲームをすることにした。
俺が友達んちでやって、結構面白いって言ったゲームを謙也さんは買ったらしい。
「あっそ、それ反則やない?」
「ゲームに反則なんてあらへんやろ。」
むっちゃ弱い・・・。この人。

「あー面白かったなあ。これ。光が薦めてくれたんやもんなあ。」
「謙也さんとやってもおもんないですわあ。」
「ひでっ・・・俺かて結構上手くなってんねんで!」
「謙也さんがコントローラー持ったままぶつかってくるから邪魔でしゃーないっすわあー。」
「そーやったか?うりゃうりゃ」
そういってもたれかかってきた謙也さんは俺の顔のすぐ目の前にいた。
「光にいっつも触ってたいからなんねんで。」
そしてそのままキスの流れになった。

「いやっすわ!」


「どないしたん?・・・今日光おかしいで。」
俺にはねのけられた謙也さんは傷ついたような表情を浮かべていた。

「おかしいのはどっちだっ・・・。」

「何があったん?話してくれへんと分からんねん。」


ここ最近感じていたモヤモヤを思い切って口にした。

「・・・ほんとは俺のこと大事にしてへんのやろっ・・・。すぐやらせてくれる、都合のいい男なんやろっ。」都合のいい女やなくて都合のいい男ってなんかキモイなあ、とか思いながらでも事実やから仕方ないやろ。


「なんでそないなこと言うん?」


「やって・・・白石部長やって、もう半年も彼女と付きあっとるのに、まだエッチせえへんのやって。
それは彼女を大事にしたい言うてたで。」

「俺ら・・・一週間でしたやん。俺、謙也さんの性欲処理機やないんやで!」

「そないなこと思ってたんか・・・。
ご・・・ごめんな。
俺も・・・それはちょっと申し訳ないなんて思っててな・・・。
その、我慢できひんくて・・・。」

「部長も、ユウジかて、小春先輩が大事すぎて指一本触れへん言うてたで。」

違う・・・俺かて、謙也さんを求めてた。

「すまなかった!」

そういって謙也さんは土下座をした。」
初めて人の土下座を見たからちょっとびっくりした。

「お前のこと本気で大事にしよう思ってたんやけど、光がかわいすぎて・・・そんな感じになったら、全然抑えられへんで・・・。
いや、白石とかは抑えてるんやな。言い訳やな・・・。
けどな、光を大事にしとらんとかそんなことはあらへんで。
俺の大事なもんは光だけなんやから。」

「ヘタレっすわあ・・・。」
なんだか情けなくなってきた。抑えが効かなかったと薄情する謙也さんを見て溜息をつく。

ちゅっ

そんだけ言ってくれたら許したりますわあ。

「しゃーないっすわ。そんだけ俺が魅力的だったっつーことですわ。」
俺も、謙也さんのことを早くから知れてよかったと思ってる。

謙也さんの全てを分かち合いたい。
「ひかるう・・・。」
顔を上げた謙也さんは涙を浮かべていて、ちょっと鼻水が垂れかけていて全然カッコ良くなかった。

まあそんなことにも寛容な俺は、謙也さんに口づけてやった。
・・・鳳凰堂のぜんざいの甘い味がした。
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