甘き香り、陽炎に似て

□NON DATA
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「ねぇ、鳴海さん」

ここは月臣学園新聞部室。
外は冷たい雨。
鳴海歩は、夕方には晴れるという天気予報を信じて、部員でもない部室で、放課後の時間を潰していた。

「鳴海さん?」

いや、理由などなくとも、ここには連れて来られるのだが。

「鳴海さんてば」

この、おさげ髪の部長(一応年上)に。

「ちょっと聞いてるんですか!?なーるーみーさーー「聞こえてるよ。耳元で大声出すな、うるさい」


ばっさり切って捨てる歩の言い方に、部屋の主人であるひよのが、黙っている筈もなく。
お決まりの説教を始めたひよのを見て、追い出されるにはまだ早いと考えた歩は、彼女をなだめにかかった。
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