甘き香り、陽炎に似て

□Sweet Sweets Day
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「おっはよー、こーすけくん!はいっ」
「おー理緒、おはよーさん…って、何だよ、それ」
「何って、チョコレートだよ。ハッピーバレンタイン♪」
「おぉう!さんきゅー」
「ホワイトデーは、もちろん3倍返しね」
「うわ、それが目的かよ」


…朝から元気な2人。
離れたところから、冷めた目で眺めていた亮子は、そんな事を考える自分にすら、嫌気がさしていた。

「あ、亮子ちゃん、おはよー」
「おぅ、おめぇはくんないの?」

「…は?何を」
「チョコレート」

たった今、理緒から受け取った箱を、ひょい、と掲げて見せる香介を見て、亮子の中で何かが切れた。


「誰があんたなんかに!」



どかっ



「…ってぇ、殴るこたねぇだろう!?」
「ぼーっとしてる、香介が悪い!香介のくせに!!」
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