甘き香り、陽炎に似て

□Sweet Sweets DayS
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「…何だ、このカタマリ」
「ひよのちゃん特製チョコチップクッキーです」

どう見ても、市販のお菓子には見えないソレを、部室の机に発見して、歩は何やら嫌な予感がした。

「チョコチップクッキーってのは、チョコレート色のクッキーの欠片って意味じゃないんだぞ?」
「失礼ですね。どこからどう見ても、美味しそうじゃありませんかっ」


自信を持って叫ぶ割に、ひよの自身もその物体に視線を合わせようとしない。
ただ、期待を込めた目で、じっと歩を見つめるばかりだ。


…ここで食べないと、後が怖い。
本能のどこかで察した歩は、諦めてそのチョコチップクッキーらしきモノに、手を伸ばした。
悪いのは見掛けだけで、味は悪くないかもしれない、という僅かな希望を持って。
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