甘き香り、陽炎に似て

□放課後のテルテル坊主
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いつもの放課後。
教室の窓に、見慣れた赤毛が揺れていた。
珍しい事もあるものだな、なんて思って見上げていたら、頬に冷たい感触がひとつ。

「…雨?」

視線を校舎から空に移すと、いつの間にかどんよりとした厚い雲が広がっていた。


「高町先パーイ!今日はもう、あがりですってー!!」
「雨降りそうだから、早く帰りましょー!」

離れたところから、後輩の声が響いた。

「わかったーさんきゅー!」

叫び返して、もう一度教室を見上げる。
いつの間にか、人影は見えなくなっていた。


「何だよ、ったく」
思わず、独りごちる。
別に、待っていると約束された訳でもないのだが。





…なら、期待させんなっての。



声にならない、溜め息が漏れた。
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