甘き香り、陽炎に似て

□Shooting STAR
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街灯が、スポットライトのように丸く切り取った道を辿る。
人をこんな夜中に呼び出しておいて、黙って歩いているおさげ娘に、文句のひとつも言ってやろうと、鳴海歩は隣の少女に顔を向けた。



「〜い、おい。あんたっ」
「…はい?何です、鳴海さ」――ごんッ「〜〜〜ッ!!?!」

声にならない、悲鳴があがった。

「そのままだと電柱にぶつかる、と言おうとしたんだが」
「〜〜遅いですっ」

目に涙を溜めながら、キッと睨み上げてくる。
だが相当痛かったらしく、残念ながら全く凄味がない。
歩は抗議の視線を、さらりと受け流した。

「上ばっかり見て歩いてるから悪いんだろ」
「だって、ずっと見てないと、見逃しちゃうかもしれないじゃないですか!」
「…見逃す?」
「何を、とか聞いたらグーで殴りますよ?」

こぶしを握って、にっこり笑うひよのに先手を打たれ、図星だった歩は慌てて言葉を飲み込んだ。
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