水平線、飛び越えて

□選んだのは知らない未来
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「またすぐ行くのか」
「はい、今日の夜の便で発ちます」
「わざわざ来なくても良かったのに」
「えへへ、すみません」

でも弟さんの顔が見たくて、と笑うと、彼は照れたのか眉間に皺を寄せた。

「別に謝ることじゃないだろ」
「へへ、ありがとうございます」

何かにつけて、お礼を言う。何度言っても、言い足りることはない。
この人が、私たちの未来を作ってくれた。
あんなに欲していたのに、いざ目の前に差し出されたら、どう受け取れば良いのか分からなくて。
堂々と学生を続けている、こーすけくんや亮子ちゃんの強さが眩しくもあるけど。

「ま、無理はするなよ」

先は長いんだからな、と穏やかに笑うこの人が、私には誰よりも眩しく見える。
願うことが許されるなら、1分1秒でも長く、私たちの未来を照らし続けてくれますよう。


選んだのは知らない未来
じゃあ、行って来ます


Fin.

Rio→Ayumu/200805xx
title from:液体窒素とい花



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