♪ dream

□5 白詰草の約束
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二人の関係をどう呼べばいいんだろう。


山崎は名前とミントンをしながら
ぼんやりと考えていた。


シャトルが大きな放物線を描いて
名前に向かう。


「だんだんうまくなってきたよ」


山崎ははじめてミントンをするという名前の
ラケットさばきを褒めた。


うまくなった、とは言うものの
ときどきとんでもない方向へ飛ばしてしまうので
山崎はそれを掬いに行くために、
シャトルの落下地点に駆け足をすることになった。


「ごめんなさい!」


自分より、年下の少女にふさわしい
溌剌とした声をあげて
シャトルを見当違いの場所へ飛ばしたことを謝る。


そして、山崎が力加減をして、
うまく名前の方へと羽を飛ばしてやると
「山崎さん、すごい、ばっちり!」
などと軽口をききながら、シャトルを返す。


シャトルの白が
五月の青空にきらきらと輝いている。


山崎は眩しくて目を細めた。


名前のはしゃぐ姿も
空に浮かんだシャトルがくるくると回転する様も
すべて眩しかった。


数年前、
自分もあんな風に無邪気に笑っていたのだろうか。


「きゃっ!」


シャトルから目を離さんとするあまりに
そのまま態勢を崩して
尻餅をついてしまった名前が笑っている。


長い冬から目覚めて
精一杯萌え出でんとする青々とした芝に
名前はぺたんと座り込んでいる。


「名前ちゃん、怪我はなかった?」


見ただけでは判断はつかないと分かっていながらも
思わず、名前の手や足を一瞥した。


芝生から名前の肌へと視線を移したためだろうか、
名前の肌が五月の太陽のように白く
山崎は、やはり、目を閉じるしかなかった。


これが、若さが眩しい、というやつだろうか。
俺だって、まだ若いのに……。
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