♪ dream

□(短篇)七夕
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だいぶ日がのびた。
名前は夕食を終えて、明日のために米を研いでいた。
しゃらしゃらと米が鳴る音がしんと静まり返った台所に響く。
米ぬかの独特の匂いが鼻をついた。
毎日が静かだった。
父もいない。そして、山崎さんもいない。
一人の生活だった。


織姫はこうやって、一年を過ごしていたのかな。


しゃらしゃらと断続的になる音は、
織姫が鳴らす機織りの音へと重なっていく。


朝起きて、
機を織って、
ごはんを食べて、
お風呂に入って、
明日の準備をして寝る。

––たった一人で。

今のわたしみたいに…?


名前は、ぼんやりとそう思いながら、米を洗った水を流した。
白く濁って流れていく様はまるで天の川のようだ。
名前は米をざるにあげると、台所の窓から夜空を見上げた。
ちらちらと、か細く星がきらめいている。雲一つない。


あの二人は、ちゃんと出会えたのかな?
わたしたちはいつ会えるのかな?


そう思うと同時に、
名前の手は近くに置いてあったたらいに伸びていた。
ほとんど衝動だった。
そこに、水をたっぷりと注いで、そのまま、縁側へと向かう。
名前はこぼさないようにゆっくりと、たらいを置く。
そのとき、水がちゃぷん、ちゃぷんとよろこびの声をあげたように感じた。
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