★ dream
□マメシバ(前)
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プルルルル
プルルルル
「はい、警視庁です」
「あの、
今日の警視庁の試験を受けそこなったものなのですが……」
「そうですか、それは残念なことでしたね。
でも、あなた、女性では?」
「そうです」
「女性は現在警察庁では募集していません」
「そこを何とかお願いします!
わたし、どうしても警視庁に入庁したいんです!」
「そう言われましても……
一介の公務員風情の私がどうこう出来る問題ではないんですが」
「では、
上の方に掛け合えばいいんですね……よしっ!!
参考になりました!ありがとうございました!」
「いや、それは――、」
ツー
ツー
名前は受話器を置いた。
この会話で一縷の光を見出した名前は
高ぶる胸の鼓動を抑えるのに苦労した。
もうすぐ会える!
やっと会える!
ずっと会いたかった近藤さんに、やっと会えるんだ!
公衆電話から出た名前は
真夏の太陽の光が肌にささるのを
むしろ楽しむように歩き出した。